nslookupコマンドとは。名前解決の方法や、digとの違いを解説

インターネットでさまざまなWebサイトを閲覧するとき、「xxx.co.jp」のようなドメイン名を入力することが多いですよね。

普段意識することはほとんどありませんが、インターネット上で相手に接続するためには、IPアドレスと呼ばれる12桁の数字の羅列が必要で、ドメイン名だけでは相手に通信ができません。

そこで、私たちが指定したドメイン名をIPアドレスに変換し、相手に接続するのがDNSという仕組みです。

今回解説するnslookupコマンドは、IPアドレスからドメイン名を確認すること、ドメイン名からIPアドレスを確認することができるコマンドです。

そのため、DNS関連の調査やDNSでの「名前解決」が出来ないなどのトラブルシューティングなどでも非常に役に立ちます。

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nslookupコマンドとは

インターネット上では、IPアドレスからドメイン名に変換するといったいわゆる「名前解決」が欠かせません。

それに関わるのがnslookupコマンドです。

まず、改めて名前解決の仕組みから振り返ってみましょう。

nslookupコマンドの理解に欠かせないDNSとは

インターネット上で通信を相手に届けるためにはIPアドレスが必要です。

ブラウザでWebサイトの閲覧をする場合、「203.137.1.214」などのIPアドレスを入力するのではなく、「winserver.ne.jp」などのドメイン名を入力することが多いですよね。

私たちが複雑なIPアドレスを入力せずともWebサイトを閲覧できるのは、ドメイン名をIPアドレスに変換し、相手に接続する「名前解決」という仕組みによるものです。

DNSは、Domain Name Systemの略で、この「名前解決」を行うための仕組みです。

DNSは、インターネット上のドメイン名とIPアドレスを対応付けさせるために使用され、インターネット上で正常に通信が行うための重要な役割を果たしています。

さらには、DNSにはAレコード、NSレコードなどさまざまな種類のレコードがあります。

これらのレコードは、「どのような種類のサーバーがどのIPアドレスを持っているか」など、通信の種類による宛先の振り分けができる仕組みとして利用されています。

DNSについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

nslookupコマンドとDNS

これまで、インターネット上では、DNSの仕組みを使用してドメイン名とIPアドレスを変換していることを説明しました。

しかし、以下のようなケースでは「ドメイン名とIPアドレスがどのような関係にあるのか」、「どのIPアドレスが、どのドメイン名に紐付いているのか」を調べる必要があります。

    • ネットワークの設定作業のため
    • ネットワーク障害の対応のため

など

こうした場合に使われるのが、nslookupコマンドです。

nslookupコマンドは、ドメイン名とIPアドレスの関係を相互に示し確認をすることができるコマンドです。

nslookupコマンドとは

nslookupコマンドは、ドメイン名とIPアドレスの関係を相互に表示できるコマンドですが、具体的にどのようなものなのでしょうか。

nslookupコマンドとはどのようなもの?

nslookupコマンドは、実行することによって以下のようなことができるものです。

    • ドメイン名からIPアドレスを確認
    • IPアドレスからドメイン名を確認
    • 特定のDNSレコードの確認

これらの中でも「ドメイン名からIPアドレス」や「IPアドレスからドメイン名」というのはイメージしやすいのではないでしょうか。

ドメイン名からIPアドレスの例:  winserver.ne.jp203.137.1.214
IPアドレスからドメイン名の例:  203.137.1.214 winserver.ne.jp

「特定のDNSレコードの確認」とは、MXレコード、NSレコードなど特定のドメインにおける特定のレコードを調べることが出来るというものです。

nslookupコマンドを実行できる環境

nslookupコマンドは、Windows、Mac、Linuxなど主なOSではすべて実行できるようになっています。

詳しくは後述しますが、どのOSでも使い方はほぼ同じです。

nslookupコマンドの使い方

それでは、nslookupコマンドを実際に使ってみましょう。

ここでは、基本的な方法から、DNSサーバーを指定する方法など少し複雑なものまで説明します。

nslookupコマンドの基本的な使用方法

まずは、nslookupコマンドをコマンドラインから直接使ってみましょう。

コマンドの実行形式は以下のようになっています。

nslookupコマンドで、ドメイン名からIPアドレスを調べる

nslookupコマンドを用いてドメイン名からIPアドレスを調べる場合、以下のように実行します。

nslookup ドメイン名
例)nslookup winserver.ne.jp

これを実行すると、IPアドレスが表示されます。

203.137.1.214

nslookupコマンドで、IPアドレスからドメイン名を調べる

逆にIPアドレスからドメイン名を調べる場合は、以下のように実行します。

nslookup IPアドレス
例)nslookup 203.137.1.214

これを実行すると、ドメイン名が表示されます。

winserver.ne.jp

nslookupコマンドのtypeオプション

nslookupコマンドにオプションを付けることにより、DNSに関するいろいろな情報を調べることが出来ます。

typeオプションについて紹介します。

-type

このtypeオプションには、以下のようなものがあり、DNSの該当するレコードの情報を調べることができます。

引数レコード
nsNSレコード(ネームサーバー)
mxMXレコード(メールサーバー)
soaSOAレコード
any関連したすべてのレコード

それぞれを実行するには、下記のように入力します。

<引数ns

nslookup -type=ns xxx.co.jp

これを実行すると、ネームサーバーとIPアドレスが表示されます。

xxx.co.jp nameserver = ns.xxx.co.jp
ns.xxx.co.jp  internet address = 210.xxx.111.123

<引数mx

nslookup -type=mx xxx.co.jp

これを実行すると、メールサーバーとIPアドレスが表示されます。

xxx.co.jp nameserver = ns.xxx.co.jp
ns.xxx.co.jp  internet address = 210.xxx.111.123

<引数soa

nslookup -type=soa xxx.co.jp

これを実行すると、以下のようにさまざまな情報が表示されます。

primary nameserver = ns.xxx.co.jp
serial = 10
refresh = 900 (15 mins)
retry   = 600 (10 mins)
expire  = 86400 (1 day)
など

<引数any

nslookup -type=any xxx.co.jp

これを実行すると、メールサーバーとIPアドレスが表示されます。

xxx.co.jp nameserver = ns.xxx.co.jp
ns.xxx.co.jp  internet address = 210.xxx.111.123

nslookupコマンドの対話モードとは

nslookupコマンドには、調査対象をさらに細かく指定する方法があります。

それが、単にnslookupとだけ指定する対話モードです。

対話モードでは、以下のようなことができます。

    • 参照するDNSサーバーの指定
    • 指定されたドメインのゾーン情報の表示

ここで言う「ドメインのゾーン情報」とは、先ほど触れたDNSに書かれたAレコード、MXレコードなどの各レコード情報を指しています。

実際に対話モードをつかう場合は、以下のような流れで行います。

①コマンドプロンプトで以下のように入力してEnterを押します。

nslookup

②目的に合わせて以下のように入力します。

こちらには一部を抜粋しています。

入力目的
server参照するDNSサーバーを指定
ls情報の一覧の参照
ホスト名指定したホストの情報を表示

③結果が表示されます。

> server 192.168.xxx.11
Default Server XXX.co.jp
Address: 192.168.xxx.11

> ls -t ns xxx.co.jp    *-tでタイプを指定
xxx.co.jp   NS  server = ns.xxx.co.jp

> ls mail.xxx.co.jp
Address: 210.xxx.111.124

④対話モードを終了する場合は、「exit」を入力します。

> exit

nslookupコマンドが使えるGUIツールは?

ここまでnslookupコマンドの使用方法を見てきました。

いずれの方法も共通しているのは、コマンドラインで実行するという点です。

しかし、コマンドラインでの実行は直感的ではなくわかりにくいですよね。

コマンドラインでなく、マウスなどで操作できるようなGUIツールは無いのでしょうか?

たとえば、GUIでnslookupコマンドのようなDNS問い合わせができるツールには、以下のようなものがあります。

    • DNS Look!
    • DNSDataView

など

ただ基本的には信頼性などを考えるとコマンドラインでの使用をお勧めします。

nslookupコマンドとdigコマンド

DNSの情報を見るコマンドは、nslookupコマンド以外にもあります。

その中でもよく知られたものがdigコマンドです。

ここでは、nslookupコマンドとdigコマンドの比較をしてみましょう。

digコマンドとは

digコマンドは、nslookupコマンドと同じようにIPアドレスとドメイン名の関係や、DNSレコードの確認などが行えるコマンドです。

digコマンドは、LinuxなどUNIX系のOSで使われてきたもので、DNSパッケージのBINDに付属されています。

こういった経緯から、Windowsには標準搭載されていません。

nslookupコマンドと比べて機能が多いという特徴があり、Linuxでは、今後nslookupコマンドの廃止とdigコマンドへの移行が示されています。

これからのスタンダードになりうるのがdigコマンドです。

ちなみにdigコマンドの実行結果は以下のような感じで、結果が加工されずに比較的そのまま表示されます。(正引きの場合)

% dig xxx.co.jp

; <<>> DiG 9.10.6 <<>> xxxx.co.jp
;; global options: +cmd
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 34332
;; flags: qr rd ra; QUERY: 1, ANSWER: 2, AUTHORITY: 0, ADDITIONAL: 1

;; OPT PSEUDOSECTION:
; EDNS: version: 0, flags:; udp: 512
;; QUESTION SECTION:
;xxx.co.jp.             IN      A

;; ANSWER SECTION:
xxx.co.jp.      1       IN      A       210.xxx.111.111

;; Query time: 83 msec
;; SERVER: 192.168.1.1#53(192.168.1.1)
;; WHEN: Tue May 24 20:59:56 JST 2022
;; MSG SIZE  rcvd: 88

nslookupコマンドとdigコマンドの比較

nslookupコマンドとdigコマンドについて、それぞれの特徴や違いを比較してみましょう。以下に表にまとめてみました。

nslookupコマンドdigコマンド
機能DNSサーバーに問い合わせて、IPアドレスとドメイン名の関係を表示する
特徴結果を加工して表示する結果を比較的そのまま表示する
長所結果が加工されて表示されるので理解しやすいサーバーの挙動なども調べやすく、nslookupに比べて正確な情報が出るので、トラブルシューティングなどにも使える
短所サーバーの種類などによっては正しく表示されないことがある結果がそのまま出るのでわかりにくいケースがある

このように、いくつかの違いがありますが、正確さということを考えるとdigコマンドの利用を考えてみるのも良いのではないでしょうか。

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まとめ

インターネット上で通信を行う際にはIPアドレスが必要となります。

しかし、実際にはブラウザなどでxxx.co.jpのようなドメイン名が使われることが一般的です。

これら両者を変換する仕組みがDNSです。

今回解説したnslookupコマンドは、DNSの動作確認やIPアドレスとドメイン名の確認など、ネットワーク上の名前解決に関わるさまざまな目的に利用されています。

nslookupコマンドは、ネットワークにおける障害の調査やトラブルシューティングにも活用できます。

なお、DNSに関する問い合わせなどに使うコマンドにはnslookupコマンド以外にdigコマンドもあります。

nslookupコマンドは結果を加工して表示しますが、digコマンドは結果をそのまま表示するという違いがあります。

目的に合わせてうまく使い分けるのが良いでしょう。

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