近年、Nginx(エンジンエックス)と呼ばれるWebサーバーソフトが注目されています。
高い処理性能やメモリ消費の少なさ、さまざまなOS環境で使えるなどいろいろな点でメリットがあるNginxは、Webサービスなど多様な目的で使われています。
今回は、このNginxについての概要や特徴、ApacheやIISなど従来のWebサーバーソフトとの違いなどを徹底解説します。
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目次
Webサーバーソフトのシェアの状況
従来、Webサーバーソフトといえば多くの場合、Apacheが利用され、いわゆる定番のソフトウェアとされてきました。
Webサーバーソフトのシェアは、どのように変わってきたのでしょうか?
以前はApache一択だった
WebサーバーソフトといえばApacheが定番という時代は非常に長く続きました。
厳密にはMicrosoftがWindowsの一部として提供しているIISを使うケースも多いのですが、WindowsやUnixなどさまざまなOSに対応しているApacheは、Webサーバーを構築する際には定番とされてきました。
英国のインターネットサービスにおける調査会社であるNetcrafが2006年4月に行った調査では、Apacheのシェアは70%近くを占めており、残りの20%程度がIISとなっていました。
これら2つで市場の90%を占めていたのです。
他のソフトウェアの入る余地はほとんどありませんでした。
Webサーバーソフトのシェアの変化
ApacheとIISで市場のほとんどを独占していた状況から16年がたった今、現在では、Apacheは20%を超える数字まで落ちており、IISに至っては3%程度まで下がっています。
そして、それに替わる選択肢としてNginxが30%台までシェアを伸ばしています。
このように、Nginxは新たなWebサーバーソフトウェアとして、近年急激にシェアを伸ばしています。
Nginxは最近人気のWebサーバーソフト
Nginxは、最近急速に人気が高まりシェアを伸ばしているWebサーバーソフトウェアです。
Nginxにはどのような特徴があるのでしょうか。
Nginxとはどのようなもの?
Nginxとはどういった特徴のあるWebサーバーソフトなのでしょうか。
- Apacheと同じオープンソースのWebサーバーソフトである
- 高い処理性能や並行処理能力を持つ
- メモリ消費が少ない
- ロードバランサーなどとしても使える
など
このようにNginxは、オープンソースとして利用できるものでありながら、高い性能を持つWebサーバーソフトとなっています。
ロードバランサーについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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Nginxの歴史
Nginxは、2004年にロシアのIgor Sysoevによって開発されたWebサーバーソフトです。
現在の管理などは、商用版のNGINX Plusを販売しているNginx社が管理をしていますが、同社は2019年3月に米国のF5ネットワークスに買収されています。
Nginxの強みや、向いている分野
Nginxの何がシェアを伸ばしている要因になっているのでしょうか。
従来のWebサーバーソフトと比べたNginxの強みや、向いている利用法などを紹介します。
Nginxの強み
Nginxはどういった強みを持っているのでしょうか。
開発当初から、並行処理やメモリ消費の少なさなどを念頭に置いて進められましたが、これらを踏まえてNginxの強みは以下のようなものです。
- 処理性能が高く高速で動作する
- メモリ消費が少なく高い負荷や多くの同時接続に耐えられる
- ロードバランサー機能により負荷分散を行える
など
この結果、たとえばApacheと比較すると、Nginxは同時に多数の処理が来た場合でも高負荷に耐えることができ、更に高速で処理を行えるといったメリットがあります。
Nginxが向いている分野
Nginxの同時に多数の処理を高速に行えるというメリットは、以下のような目的に生かすことができます。
- 一般向けのWebサービスなど多数の同時アクセスが発生する業務
- 静的コンテンツが多いWebサービス等
など
また、Apacheなど他のWebサーバーサービスを組み合わせて利用することも良いでしょう。
Nginxとクラウドサービスやコンテナ
最近は、従来のオンプレミスではなくクラウドサービスの利用や、オンプレミスからクラウドサービスへの移行を行うケースも増えています。
また、コンテナサービスのような従来のアプリケーションとは異なる使い方も増えています。
ここでは、クラウドやコンテナといった新しい技術や環境とNginxの親和性について見ていきましょう。
コンテナとは
クラウドサービスは一般的なものですが、コンテナについては知らない人もいるかもしれませんね。
まずはコンテナについて少し触れておきましょう。
コンテナとは、「OS上に仮想的に複数のコンテナ(分離・独立した領域)の箱を設け、そのなかで、アプリケーションを実行・動作させる仕組み」です。
従来のサーバーでは、WindowsやLinuxなどのOSがあり、その上でアプリケーションが動いていました。
それに対して、コンテナではアプリケーションのみがひとまとめにされて動いているといったイメージです。
コンテナ自体は、コンテナが動作するための環境さえあれば、さまざまな環境で動作するだけでなく、環境の移行も容易なため利用が広がっています。
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Nginxとクラウド
先ほどのコンテナもそうですが、それ以上に最近はクラウドサービスの利用が拡大しています。
従来のオンプレミス型でなく、初期のシステム導入時からクラウドサービスを検討する、あるいは移行の際にオンプレミスでなくクラウドサービスへ移行するケースも一般的です。
Nginxは、クラウドサービスとの親和性も非常に高いWebサーバーソフトウェアです。
AWSやGCPなどの大手クラウドサービスでは、当然Nginxが使えるようになっています。
それ以外のクラウドサービスでも、Webサーバーとして基本的にはNginxかApacheが標準とされているものや、商用版NginxであるNGINX Plusが利用できるようになっているものが多く、Nginxがクラウド環境下でも標準的なWebサーバーソフトウェアとなっていることがわかります。
Nginxとコンテナ
Nginxはコンテナ環境とも非常に相性が良いWebサーバーソフトウェアです。
コンテナ環境では一般的にDockerが利用されます。
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NginxではDockerコンテナが提供されており、コンテナ環境を手軽に使うことができるようになっています。
AWSなど大手クラウドサービスでは、コンテナを直接動作させ管理できる仕組みが提供されており、簡単にNginxベースのWebサーバーを構築して利用することができます。
このように、Nginxとコンテナ技術は非常に相性が良いものとなっています。
そして、コンテナ技術でもNginxが強みを発揮する中で、有効なのがより迅速なソフトウェア開発です。
コンテナ技術が活用されるソフトウェア開発方法が、CI/CD「(Continuous Integration(継続的インテグレーション)/ Continuous Delivery(継続的デリバリー)」です。
これは、ソフトウェアの開発と本番環境への組み込みを自動化して効率よく作業とリリースを行う方法です。
Nginxのコンテナと併せて使うことで、開発とリリースを行ったソフトウェアをスムーズにNginxのWebサーバーに自動的に組み込んで動かすことができるようになっています。
NginxとWordPress
インターネット上には非常に多くのWebサイトが存在しています。
オーストリアのWeb市場調査会社Q-Successが調査したレポートによると世界のWebサイトで使われているCMS(Webサイト管理システム)のシェアの64.3%(2022年8月現在)がWordPressであると言われています。
そして、WordPressで一般的に使われるWebサーバーソフトウェアは、NginxとApacheです。
こうしたことは、従来Apacheが定番であったWebサーバーソフトウェアの市場で、Nginxが非常に幅広く受け入れられていること、将来性が非常に高いものであることを示しているといえます。
Nginxの将来性とは
NGINXの最高経営責任者(CEO)Gus Robertson氏は、あるインタビューの中で、Apacheと比較した際に「Nginxはクラウド構成で有利である」という趣旨の発言をしました。
クラウドをはじめ、AIやビッグデータなど新しい展開が急速に進む中で、Nginxも将来性のある技術を提供することを求められています。
先ほども少し触れましたが、AWSやGCPなどの各社クラウドサービスではWebサーバーソフトウェアとしてNginxが標準的に利用できるようになっています。
IT専門調査会社であるIDC Japanの2022年の報告でも、今後もクラウド市場は順調に拡大を続けていくと予測されています。
Nginxの並行処理や高速処理に長けているという特徴は、ビッグデータなど大規模なデータの分析や解析の用途にも向いています。
こうしたことから、Nginxは将来に向けて可能性の開けたWebサーバーソフトであると言えます。
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まとめ
最近急速に人気が出てシェアの拡大しているNginxは、これからのクラウド時代にも将来性の高いWebサービスソフトです。
開発時から、「メモリ消費が少ない」「高速」「並行処理が可能」などといった従来のApacheでは十分でなかった部分を強みとしています。
Nginxは、「大量のアクセスを高速に処理すること」に適しており、オンラインショッピングやSNSなどWeb上のサービスを利用する時代に適したソフトウェアとなっています。
今後も、IoTやAI、ビッグデータのような多くのデータを扱う将来に向けてNginxは需要がさらに増すことは間違いありません。
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