データベースで現在主流となっているのは、OracleやMySQLなどに代表されるRDBMS(リレーショナル・データベース管理システム)です。
RDBMSは、データを表形式に格納し、大規模なデータを扱うことができます。
RDBMSに対して、最近注目されており、利用が広がりつつあるのが、NoSQLです。
- NoSQLとはどのようなデータベースで、なぜ注目が広がっているのでしょうか?
- RDBMSとは何が違うのでしょうか?
今回はNoSQLについてのさまざまな疑問にお答えします。
Windows VPSならWinserver!
★丁寧な電話サポートで安心★
\2週間無料・全プランSSD搭載/
Winserverを無料で試す
目次
NoSQLとは
NoSQLは、どのようなデータベースなのでしょうか。
まずは、NoSQLの概要や種類について見ておきましょう。
NoSQLはどのようなもの?
NoSQLについてよく誤解されるのが、「NoSQL」という種類のデータベースがあるわけではないという点です。
一般的にデータベースの世界で主流とされているのはRDBMSですよね。
NoSQLは、「RDBMS以外のデータベース」という意味を持ちます。
つまり、特定のNoSQLというデータベースがあるわけではなく、RDBMS以外のデータベースはすべてNoSQLなのです。
したがって、NoSQLにはさまざまな種類があります。
RDBMSとして代表的なOracleやMySQLについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
2020.08.13
Oracleとは。データベースの特徴や強みなど、人気の理由を解説
Oracle(=オラクル)といえば、一般的にはOracle社が開発・リリースしているOracle Databaseのことを指します。...
2020.08.27
MySQLとは。特徴や強み、無償版と有償版の選び方を解説
MySQLは、Oracleなどと同じように世界中で幅広く利用されているデータベースです。「大量の情報を高速で扱える」、「耐障害性が高...
NoSQLの種類とは
NoSQLとは、RDBMS以外のデータベースであるため、NoSQLと一言でいってもいくつかの種類があります。
NoSQLには大きく分けて、主に以下の4つがあります。
- キーバリュー型
- カラム指向型(列指向型)
- グラフ型
- ドキュメント型
これらをもう少し詳しく見ていきましょう。
NoSQL:キーバリュー型
キーバリュー型は非常にシンプルなデータベースで、「キー」に対する「バリュー」という2つの要素を組み合わせた構造となっています。
結合処理などの複雑な処理はできませんが、シンプルな構造を持つため、RDBMSに比べて高速な処理を行えるようになっています。
キーバリュー型でよく使われている製品には「Memcached」などがあります。
NoSQL:カラム指向型(列指向型)
カラム指向型は、列指向型とも呼ばれます。
1行ごとにデータを扱う一般的なデータベースとは異なり、列方向でデータを扱うデータベースです。
列でデータを扱うため、データの集計作業や分析などを得意としています。
カラム指向型でよく使われている製品には「Apache Cassandra」などがあります。
NoSQL:グラフ型
グラフ型は、端的に言うと「グラフ構造」を持つデータベースです。
RDBMSのデータ構造がリレーショナル(階層型)であるのに対して、グラフ型データベースのデータ構造はネットワーク上になっています。
データは、「ノード」「エッジ」「プロパティ」の3要素で表され、データの関係性を表すことが得意です。
大規模データでは、例えばSNS上での人と投稿記事の関係性なども表すことができます。
グラフ型でよく使われている製品には「Neo4j」などがあります。
NoSQL:ドキュメント型
ドキュメント型は、RDBMSとは異なり、データをXML形式やJSON形式などのドキュメントとして扱うデータベースです。
ドキュメントととしてデータが管理されるため、「アプリケーションから利用しやすい」、「分散やスケールアウトが行いやすい」といったメリットがあります。
ドキュメント型でよく使われている製品には「MongoDB」などがあります。
このように、NoSQLは「RDBMS以外のもの」という言葉通り、さまざまな種類のデータベースがあります。
NoSQLが注目される理由とは
従来、データベースといえばRDMSを指すことが大半で、RDMSは多くのデータを効率よく管理できる優れたデータベースであると評されてきました。
実際、今でも中小企業から大企業までRDBMSは非常に幅広く活用されています。
では、なぜ現在NoSQLが注目され、利用が広がっているのでしょうか。
それには、以下の3つの理由があります。
- 特定のデータモデル専用に特化して設計される
- 大規模なデータ(ビッグデータ)の処理を高いパフォーマンスで実現できる
- データベースシステムの拡張や分散が容易に行える
近年は、AI(人工知能)、IoT、ビッグデータの利活用などで大規模な情報を取得・蓄積し、高速に処理するニーズが急速に高まっています。
NoSQLが注目される理由には、こうしたIT業界を取り巻く大きな変化が密接に関わっています。
2020.07.16
話題のビッグデータとは。定義や活用例をご紹介。AIとの関係性は?
「ビッグデータ」という言葉、皆さんもいろいろなところで聞くことが多いのではないでしょうか。インターネット上でのSNSへの投稿情報、検...
2020.09.17
画像解析・動画解析とは。AI・ディープラーニングの活用事例を解説
みなさんは、画像解析」や「動画(映像)解析」にどのようなイメージを持っていますか?何か自分には縁遠く難しいもののように聞こえるかもし...
NoSQLとRDBMSとの違い
NoSQLの解説をすると、必ずRDBMSが比較対象となります。
具体的にどのような点が両者の違いなのでしょうか。
NoSQLとRDBMSはどこが違う?
NoSQLにはいろいろな種類がありますが、大きく分けてRDBMSとは何が違うのでしょうか。
まずは両者の特徴をあらためて整理してみましょう。
NoSQLの特徴
NoSQLの特徴は以下の通りです。
- データは表形式ではなく、さまざまな方法で格納、管理される
- 多数のデータを高速に処理できる
- シンプルな処理は得意だが複雑な処理は苦手である
- システムの拡張や分散が行いやすい
RDBMSの特徴
RDBMSの特徴は以下の通りです。
- データは表形式で格納され、管理がしやすい
- 複数のテーブルを関連させて、さまざまな情報を取り出せる
- データ数が多くなると処理が遅くなる
- データの更新など複雑な処理が得意
- SQLと呼ばれる共通の操作言語が使える
これを踏まえると、NoSQLとRDBMSの大きな違いは以下の点にあると言えます。
- データが表形式で格納されているかどうか
- 多数のデータを高速に処理できるかどうか
- 拡張や分散が容易に行えるかどうか
- SQLで操作できるかどうか
NoSQLとRDBMSの比較
これまで見てきたように、NoSQLとRDBMSにはいくつかの違いがあります。
これらを表にして整理すると、次のようになります。
NoSQL | RDBMS | |
---|---|---|
データ格納形式 | 種類による | 表形式 |
操作言語 | 種類による | SQL |
システム拡張 | ○ 容易 | × 難しい |
分散処理 | ○ 容易 | × 難しい |
大規模データ処理 | ○ 高速に行える | × 処理速度が低下する |
実績 | △ 急速に拡大 | ○ 豊富な実績 |
2020.09.10
MariaDBとは?MySQLとの違いや、特徴・強みなどをご紹介
MariaDBは、主要なLinuxディストリビューションで採用されているデータベースです。少しご存じの方であれば、Linuxに採用さ...
2020.02.06
Microsoft SQL Serverとは。他DBとの違いを解説
SQL Serverは、Microsoftが開発、リリースしているデータベース製品です。Windows OSとの相性が良いため、Wi...
NoSQLが適している分野とは
NoSQLとRDBMSは、データ構造やデータ管理など多くの点で違いがあります。
それぞれの得意不得意を確認し、両者を効果的に使い分けられるようになりましょう。
NoSQLよりRDBMSが適している分野
データを表形式で格納するRDBMSは、以下のような分野での利用が向いています。
- 社内データの管理用データベース
- 顧客情報の管理データベース
- 生産管理システムのような複雑な情報を扱うもの
NoSQLが向いている分野
NoSQLは、大量のデータを扱うのが得意という特徴があるため、以下のような分野が向いています。
- 大量のデータを処理するIoTのシステム
- SNSの分析
- ゲームのWebサービス
など
NoSQLが使える製品やサービス
RDBMSには、OracleやMySQL、PostgreSQLなどさまざまな製品があります。
また大手のクラウドサービスであるAWS(Amazon Web Service)やGCP(Google Cloud Platform)、Azure(Microsoft Azure)などもこれらのデータベースが使えるようになっています。
では、NoSQLの製品やサービスにはどのようなものがあるのでしょうか。
NoSQL製品
NoSQL製品としてよく知られているものには、以下のようなものがあります。
- MongoDB:ドキュメント型
- DynamoDB:キーバリュー型
- Apache Cassandra:カラム指向型
- Couchbase:ドキュメント型
- Neo4j:グラフ型
このようにさまざまな製品が存在します。
NoSQLが使えるクラウドサービス
RDBMSは、大手の各クラウドは対応していますが、NoSQLの場合はどうなのでしょうか。
ここでは大手クラウドであるAWS、GCP、AzureについてのNoSQL対応状況を見ていきましょう。
<AWS>
AWSでは、NoSQLデータベースとして以下をサポートしています。
サービスとして提供されているのは以下の通りです。
データーベースタイプ | 名称 |
---|---|
キーバリュー型 | Amazon DynamoDB |
ドキュメント型 | Amazon DocumentDB |
グラフ型 | Amazon Neptune |
カラム指向型 | Amazon Redshift |
これ以外にも仮想サーバーに任意のデータベースをインストールして利用することができます。
2021.05.13
VPSとAWS(クラウドサービス)の違い。目的にあわせた上手な活用方法とは。
仮想技術を用いたサーバーサービス『VPS(Virtual Private Server)』と、AWS(Amazon Web Service)...
<GCP>
GCPでは、NoSQLサービスとしてGoogle Cloud Firestoreというサービスを提供しています。
もちろん、これ以外にも仮想サーバーに任意のデータベースをインストールして利用することができます。
<Azure>
Azureでは、NoSQLサービスとしてAzure Cosmos DBというサービスを提供しています。
もちろん、これ以外にも仮想サーバーに任意のデータベースをインストールして利用することができます。
このようにNoSQLは大手クラウドサービスでも利用できるようになっています。
まとめ
NoSQLは、最近急速に注目と利用が広がっているデータベースです。
従来、データベースとして幅広く利用されてきたのは、OracleやMySQLのようなRDBMSです。
それに対して「RDBMS以外」を意味するNoSQLには、以下のような特徴があります。
- 大量のデータの高速処理が得意
- システムの拡張や分散が行いやすく、構造の変動などにも対応可能
- シンプルな処理は得意だが複雑な処理は苦手
今回解説したようにNoSQLとRDBMSには、それぞれに向き不向きがあります。
それぞれの得意不得意を確認し、両者を効果的に使い分けられるようになりましょう。
2020.08.13
Oracleとは。データベースの特徴や強みなど、人気の理由を解説
Oracle(=オラクル)といえば、一般的にはOracle社が開発・リリースしているOracle Databaseのことを指します。...
2020.08.27
MySQLとは。特徴や強み、無償版と有償版の選び方を解説
MySQLは、Oracleなどと同じように世界中で幅広く利用されているデータベースです。「大量の情報を高速で扱える」、「耐障害性が高...
2020.09.10
MariaDBとは?MySQLとの違いや、特徴・強みなどをご紹介
MariaDBは、主要なLinuxディストリビューションで採用されているデータベースです。少しご存じの方であれば、Linuxに採用さ...
2020.02.06
Microsoft SQL Serverとは。他DBとの違いを解説
SQL Serverは、Microsoftが開発、リリースしているデータベース製品です。Windows OSとの相性が良いため、Wi...