皆さんは「閉域網」(クローズドネットワーク)という言葉を聞いたことがありますか?
インターネットのように誰もが利用できるように開かれたネットワークに対して、VPNなど特定の企業内や利用者同士などで利用するネットワークが閉域網です。
最近のセキュリティニーズの高まりやコロナ禍におけるテレワークなどネットワークを介した働き方の需要拡大を受けて、閉域網にも注目が高まっています。
今回は、安全なネットワークである閉域網について仕組みや種類について解説します。
目次
閉域網とは
まずは、閉域網と呼ばれるネットワークはどういったものなのか、そして注目される背景はどういったところにあるのか見ていきましょう。
閉域網について
いわゆるインターネットは、「開かれたネットワーク」として誰もが自由に使うことができるものです。
しかし、企業情報や入札の情報など世の中には外部に漏れることが許されない情報もたくさんあります。
こういった情報をやり取りするには、「閉じられたネットワーク」である外部からアクセスできない回線でのやり取りが必要となります。
- インターネット:開かれたネットワーク
- 閉域網:閉じられたネットワーク
このように、閉域網とは、さまざまな方法でインターネットから分離し、不特定多数が直接アクセスできないようにしたネットワークのことで、高いセキュリティを実現しています。
注目される背景とは
なぜ、今閉域網が注目されているのでしょうか。
それには、以下のような理由があります。
- IT技術の進展とDXの推進による通信量の増大
- 不正アクセス、DDoS攻撃等のサイバー攻撃による情報漏えい事例の増加
- DDoS攻撃などによるネットワーク過負荷やサーバー停止などによるビジネス機会の損失
など
こういった問題に対する対処法として、安全性の高いネットワークである閉域網の利用が拡大しているのです。
新型コロナウイルスの感染拡大も理由の一つ
さて、閉域網の注目が増している理由として忘れてはならないのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。
コロナ禍の中で、出社せずにテレワークやリモートワークなどで仕事をする働き方が拡大しています。
こういった働き方では、情報漏えいなどを防ぐために、よりセキュリティレベルの高いネットワークが必要となります。
これらも情報漏えいの防止の観点から、閉域網の注目が広がっている理由です。
閉域網の種類と仕組み
開かれたネットワークであるインターネットと違い、クローズなネットワークである閉域網。
では、閉域網にはどんなものがあり、どういった仕組みで提供されているのでしょうか。
ここでは閉域網の種類と仕組みを見ていきましょう。
主なものとしては、以下のようなものがあります。
専用線
拠点同士を専用の物理回線で接続する方法です。物理的に切り離されているので、非常にセキュリティは高いですが、費用がかかります。
広域イーサネット
通信事業者が独自に設置している閉域ネットワークを使う方法です。こちらも非常に高いセキュリティレベルを実現できます。
IP-VPN
広域イーサネットと同様に通信事業者の通信網を使う方法です。広域イーサネットと比べると管理が楽というメリットがあります。
インターネットVPN
厳密には閉域網とは言えませんが、インターネット上に仮想的に閉じられたネットワークを使って通信をする方法です。
SSLやIPsecなどのプロトコルでデータを暗号化するもので、セキュリティレベルは落ちますが、安価にできるメリットがあります。
閉域網を使うメリットとは
通常のインターネットでなく、閉域網を使うとどういったメリットがあるのでしょうか。
また、逆にデメリットはないのでしょうか。
閉域網を使うメリット
- 安全に通信ができる
- 海外など遠距離でも利用できる
- 在宅ワークなどでも使える
など
閉域網を使うことによるデメリット
- 通信速度が遅くなる場合もある
- 方法によってはコストがかさむ
など
閉域網を選ぶ際のポイントとは
ここまで、閉域網のさまざまな種類やメリット・デメリットなどを説明してきました。
実際に閉域網を使用するにはこれらの中から目的に合ったものを選択する必要があります。
閉域網は、予算や目的に合わせて必要なものを適切に選択する必要があります。
閉域網を選ぶ際のポイントを簡単にまとめましたので、参考にしてみてください。
- 実現できるセキュリティレベル
- 通信速度
- スマートフォンなどへの対応
- 導入、運用費用
- 導入や運用のしやすさ
- サポート体制
など
まとめ
VPNなどに代表される閉域網は、開かれたネットワークであるインターネットとは違い、特定の利用者や企業などだけで利用する閉ざされたネットワーク(クローズドネットワーク)です。
閉域網は、通信が暗号化されてセキュリティレベルの高いやりとりができることで、情報漏えいの防止につながるなど、テレワークやリモートワークなどの需要が高まる現状の中で注目が高まっています。
閉域網には今回紹介したようにいくつかの種類があり、導入の手軽さやセキュリティレベルなども異なります。
導入を行う場合は、目的や予算などを明確にして、それに見合ったものを選択することが大切です。