コンピュータが通信を行うためには、IPアドレスが必要です。
IPアドレスがあることによって、ネットワーク上に接続された機器は相手と正しく通信を行うことが出来るようになります。
しかし、すべての機器に手動でIPアドレスを割りあてる、さらにどの機器にどのIPアドレスを割り当てたかを管理することは、機器が増えれば増えるほど大変になってきます。
これを解決するのがDHCPです。
今回はIPアドレスを自動で割り当てる仕組みであるDHCPについて解説します。
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目次
DHCPとは
DHCPとは、どのようなものなのでしょうか。
まずは、IPアドレスの種類とDHCPが果たしている役割について見ていきましょう。
IPアドレスの種類(静的IPと動的IP)
最初に基本的なことから解説しておきたいのですが、IPアドレスには「静的IPアドレス」と「動的IPアドレス」の2種類があります。
静的IPアドレス
固定IPアドレスとも言う。
コンピュータやプリンターなどの機器に対して自動的に変わらない決まったIPアドレスを割り当てる方法。
機器で明示的に設定を行うことが必要となる。
動的IPアドレス
こちらがDHCPで割り当てられるもの。
機器に対して自動的に割り当てられるIPアドレスで、接続される機器には明示的にIPアドレスを指定する必要がない。
このように、まずDHCPを理解するには2つの種類のIPアドレスがあることを理解しておきましょう。
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DHCPとは
2つの種類のIPアドレスについて理解できたところで、DHCPとはどのようなものなのかを解説します。
DHCPとは、簡単に説明すると以下のような仕組みです。
- ネットワーク上でIPアドレスを持たない機器を探索する
- IPアドレスを持たない機器にIPアドレスなどの情報を割り当てる
こうした仕組みによって、ネットワークに接続されたさまざまな機器が個別にIPアドレスを手動で設定することなく、IPアドレスが割り当てられて通信を行なうことができるようになっています。
DHCPはなぜ必要?
DHCPは、解説したようにネットワーク上に接続される機器に自動でIP情報などを割り当てる仕組みです。
しかし、この仕組みはなぜ必要になってきたのでしょうか。
ネットワーク上に接続される機器が少ない場合は、どの機器にどのIPアドレスが割り当てられているか把握し、管理することは難しいことではありません。
同一ネットワーク上のIPアドレスは重複が許されませんが、機器の数が少なければ、それほど問題ではありません。
どのIPアドレスが使われていてどのIPアドレスが使用可能かも簡単に把握できます。
しかし、機器の数が多くなるとそうはいきません。
多くの機器のIPアドレスと空きアドレスの管理は至難の技です。
- 機器に割り当てられた、あるいは空いているIPアドレスの管理
- 端末のIPアドレス設定を容易にする
こうした理由からDHCPが広く使われるようになっています。
DHCPの仕組み
自動で設定情報を割り当てるDHCPの役割ですが、これはどのような仕組みで実現されているのでしょうか。
以下では、DHCPで情報を割り当てる仕組みについて解説します。
DHCPの仕組み
DHCPは、どのような仕組みで設定情報を割り当ているのでしょうか。
DHCPでは、「DHCPサーバー」と「DHCPクライアント」の2つの仕組みが必要となります。
- DHCPサーバー:端末にIPアドレスを配布
- DHCPクライアント:DHCPサーバーからIPアドレスを受け取る
DHCPは、この構成で情報を割り当てています。
DHCPサーバーが設定情報を割り当てる仕組み
DHCPサーバーは、具体的にどのような仕組みでDHCPクライアントに情報を配布しているのでしょうか。
DHCPでクライアントにIPアドレスが適用されるのは、以下の4段階の流れとなります。
- クライアントがブロードキャストにDHCPサーバーを探す要求を出す
- 受け取ったDHCPサーバーがIPアドレスの提案をクライアントに返す
- クライアントはサーバーにIPアドレスの払い出しを要求する
- サーバーは払い出しを承認し、クライアントにIPアドレスが適用される
このような流れでDHCPによるIPアドレスの配布と適用が行われます。
DHCPを使うメリットとデメリット
従来、IPアドレスにはDHCPで使われる動的IPでなく静的IPのみがありました。
では、DHCPを使うことによって動的IPが使われることになったわけですが、このようにDHCPを使うことによってどのようなメリットがあるのでしょうか。
また、デメリットはないのでしょうか。
以下にメリットとデメリットについて解説します。
DHCPを使うメリット
DHCPを使うメリットには、以下のようなものがあります。
- 端末に手動でIPアドレスを設定する手間がなくなる
- IPアドレスの一元管理がしやすくなり、情報資産の管理が楽になる
- 多くの情報機器の活用がしやすくなる
など
DHCPを使うデメリット
逆にDHCPを使うデメリットもあります。
- DHCPサーバーに障害はあった場合に通信できなくなる可能性がある
- ソフトウェアなどによっては静的IPが必須の場合がある
など
DHCPを使うためには
さて、実際にDHCPを使うためにはどのようにすれば良いでしょうか。
以下では、具体的にDHCPを使うための方法について解説します。
DHCPを使うために必要なものは?
DHCPを使うためにはいくつか必要なものがあります。
それは具体的にどのようなものなのでしょうか。
- DHCPサーバー
- DHCPクライアント
- DHCPで提供するIPアドレスの範囲
先に解説したように、DHCPを利用するためには、サーバーとクライアントの組み合わせが必要となります。
加えて、DHCPクライアントに自動で割り当てるIPアドレスの範囲を決めておく必要があります。
例えば一般的には以下のように割り当てることが多いです。
<192.168.1.0 〜 192.168.1.255のIPアドレスの場合>
– 192.168.1.0 : 開始アドレス
– 192.168.1.1 : デフォルトゲートウェイ(ルーター等)
– 192.168.1.2 〜 192.168.1.100 : サーバー等に固定IPとして提供 *範囲は任意
– 192.168.1.101 〜 192.168.1.254 : DHCPで自動割当する範囲 *範囲は任意
ここで解説したDHCPで自動割当する範囲の情報は、後述するDHCPサーバーに設定する必要があります。
DHCPクライアント準備
パソコンやスマートフォンなどクライアント側でDHCPの仕組みによってIPアドレスの自動割当を受けるためには、DHCPクライアントとしての準備が必要となります。
基本的にDHCPクライアントの機能は、OSに備わっているものが使えるので新たにインストールする必要はありません。
(Linuxは必要な場合があります)
それを踏まえて、WindowsとMacでのDHCPの設定方法について解説します。
WindowsでのDHCPクライアントの設定
WindowsでDHCPクライアントの設定を行うには、以下の流れで進めます。
- 「設定」を開く
- 「ネットワークとインターネット」を開く
- 「状態」を開き、「アダプターのオプションを変更する」をクリックする
- DHCPを使うインターフェースを右クリックし、「プロパティ」を開く
- インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」を選択し、「プロパティ」を開く
- 「IPアドレスを自動的に取得する」および「DNSサーバーのアドレスを自動的に取得する」をチェックして「OK」を押す
MacでのDHCPクライアントの設定
MacでDHCPクライアントの設定を行うには、以下の流れで進めます。
- 「システム環境設定」-「ネットワーク」を開く
- DHCPを使うインターフェースを選択する
- 「IPv4の設定」から「DHCPサーバーを使用」を選択
- 「適用」を押す
DHCPサーバーの構築方法
DHCPクライアントにIPアドレスを配布するには、DHCPサーバーが必要となります。
DHCPサーバーには、ルーターなどの機器には標準搭載されているケースも多いですが、実際にサーバーを構築する必要があるケースもあります。
ここでは、その両者の方法について解説します。
ルーター等の機器の場合
ルータなどの機器の場合、DHCPサーバー機能が備わっている場合があります。
こうした場合は、単に機能を有効にしてください。その際には、DHCPとして配布するIPアドレスの範囲を指定しておきましょう。
サーバーを構築する場合
ルーターなどのネットワーク機器と異なり、DHCPサーバーを構築する場合は、構築作業というものが必要となります。
細かい部分はOSによって違いはありますが、実際の構築の流れは、以下のようになります。
- DHCPサーバー機能のインストール
自動起動の設定なども行います。 - 配布するIPアドレス等の範囲を設定
- サーバーのファイアウォールの設定
DHCPサービスが使えるようにします。
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このように、DHCP機能を使う場合は、もともと実装されている機器を利用する場合もサーバー構築を行う場合も、ここで解説したような設定等の作業が必要となります。
DHCPを使う際の注意点とは
DHCPは、自動的にIPアドレスなどの設定情報を機器に割り当てることができるとても便利な仕組みです。
しかしながら、使う際にはいくつかの注意点があります。
最後に、これらについて見ておきましょう。
・IPアドレスのリース期間には注意が必要
DHCPサーバから配布されるIPアドレスには期限があるが、長くするとIPアドレスがバッティングしてしまうことがある
・同一ネットワークで複数のDHCPサーバーが無いようにする
複数あると異常なIPアドレスの配布が起こってしまう。
DHCPを利用する場合は、このような点には気をつけることが大切です。
まとめ
今の世の中では、パソコンやスマートフォン、タブレットなどさまざまな機器がネットワークに接続されています。
ネットワークで通信を行うためには、重複しないIPアドレスを機器に割り当てる必要があります。
しかし、機器が多くなればなるほど管理が非常に難しくなります。
これを解決し、自動でIPアドレスを割り当てる仕組みがDHCPです。
今回解説したDHCPの仕組みは、ネットワークにおける非常に重要かつ基本的な技術です。
しっかりと理解するようにしましょう。
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