皆さんはMIBという言葉を聞いたことがありますか?
MIBは通信ネットワーク経由でさまざまな機器を管理するための仕組みで、機器状態の管理や監視に広く使われているものです。
サーバーや、コンピュータ、スマートフォンなどさまざまなデバイスがネットワーク上で使われている中で、その状態が正常かどうか把握し、異常が発生した場合はすぐに検知することはとても重要です。
今回は、こうしたMIBの仕組みや、それを活用した機器などの監視といった内容について解説します。
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目次
MIBとは
MIBは、ネットワーク上の機器を管理するデータベースの一つです。
ここでは、機器の監視や管理の重要性を踏まえて、MIBの概要について解説します。
機器監視の重要性とは
企業などの組織では、ネットワーク上に存在するサーバーやパソコン、スマートフォンなどの機器を管理し、状態を監視することが非常に重要なこととなっています。
それは、以下のような理由からです。
- 管理外の機器がネットワークに接続されることを防ぐ
- 重要な機器が故障などで停止した場合に検知や対処を早くする
- 機器にセキュリティ上の問題が発生した場合などに速やかに切り離す
など
このようにネットワーク上の機器を管理し監視することは、セキュリティ上の観点やシステムの正常運用、サービスの提供などさまざまな観点から非常に重要な内容となっています。
MIBの概要
MIBは、「Management Information Base」の略で、ネットワーク経由でさまざまな機器を管理するためのデータベースです。
ネットワークに接続される機器にはさまざまなものがありますが、MIBは、こうした機器に登録されている番号で、各メーカーに紐づくものです。
ネットワーク上で、機器の管理や監視を行う際には、デバイスの情報として用いられます。
MIBは、業界標準規格となっており統一されているので、一元的に管理することができるようになっています。
なお、MIBが割り当てられている機器には、ルーターやハブなどが挙げられます。
MIBの種類(標準MIBと拡張MIB)
MIBには、「標準MIB」と「拡張MIB」の2種類があります。これらは、どのような特徴があり、どのような点に違いがあるのでしょうか。
標準MIBと拡張MIB
まず、「標準MIB」と「拡張MIB」のそれぞれについて解説します。
<標準MIB>
標準MIBは以下のようなものです。
- RFCによって定義される業界標準の規格で各社共通になっている
- 現在の規格は「MIB-2」となっている
- 機器に関するさまざまな情報が11のグループに分類されて格納されている
標準MIBは、インターネット技術の標準化などを行っているIETF(Internet Engineering Task Force)から発行される技術仕様等の文書であるRFCで規定されています(MIB-1:RFC1156, MIB-2:RFC1213)。
これは、各社で共通のものとなっており、さまざまなベンダーのものが混在しても問題なく利用できるようになっています。
<拡張MIB>
標準MIBに対して、拡張MIBは以下のようなものです。
- 各メーカーがそれぞれに独自の設定を行ったMIB規格であり、各社に違いがある
- 内容に差がありすぎないように管理が行われている
- MIBを使ったオペレーション自体は各社共通になっている
拡張MIBは、標準MIBとは異なり、各社でそれぞれに独自の設定を行ったものです。
ただし、内容に差がありすぎると異なるベンダーの機器が混在した環境でMIBの通信が利用できなくなるので、そうならないように管理されています。
MIBの構成(オブジェクトとOID)
MIBの構成に欠かせない要素には、オブジェクトとOIDというものがあります。
MIBを理解するには欠かせないこれらについて、以下で解説します。
まず、オブジェクトとOIDについて、以下のように定義されます。
オブジェクト:MIBに格納されている設定内容や状態を示す値のこと
OID(オブジェクトID):それぞれのオブジェクトに他と区別するために割り当てられる識別番号のこと
これを踏まえて、次にMIBの構成を見ていきましょう。
OIDと標準MIB,拡張MIB
OIDは、ツリー構造で構成されています。
構成される各要素はアーク(arc)と呼ばれ、それぞれの要素ごとに「.」で区切って並べて表示します。
Active Directoryのドメイン構造などをイメージするとわかりやすいです。
「標準MIB」も「拡張MIB」もこのツリー構造に組み込まれており、拡張MIBは、「private」と呼ばれるアークに含まれています。
このように、標準MIBも拡張MIBも一つのツリー構造の管理下にあります。
MIB監視の仕組みとは
MIBによる監視は、そもそもどのようなもので、どのような方法で行われるのでしょうか。
以下では、MIB監視の概要と仕組みについて解説します。
MIB監視とは
MIB情報は、ネットワークに接続された機器のベンダー情報や、状態などが書き込まれています。
機器が正常であれば、正常であること、異常があれば異常な状態にあることが記載されます。
こうしたMIB情報は、ネットワークの管理用プロトコルであるSNMPを活用した機器の一元管理に役立てることができるようになっています。
そして、こうした方法を用いて機器の監視を行う方法を「MIB監視」と呼び、機器の管理や監視で使われる一般的な手法ともなっています。
MIB監視の仕組み
MIB情報を活用して行うのがMIB監視の簡単な概要ですが、具体的にどんな仕組みで監視を行うようになっているのでしょうか。
実際にMIB監視を行う場合、通信プロトコルとしてSNMPが使われます。
SNMPはネットワークに接続された通信機器を監視や管理、制御を行うためのプロトコルです。
では、ここまで理解したところでMIB監視を行うための構成について見ていきましょう。
MIB監視を行うためには、「SNMPマネージャ」「SNMPエージェント」の2つが必要です。
SNMPマネージャ:エージェントから送られた機器の情報を管理する
SNMPエージェント:各機器で有効にするもので、機器の情報を収集しマネージャに送る
このようにMIB監視にはマネージャとエージェントの2つから構成された環境で行われます。
ただし、一般的にOSにはSNMPエージェント機能が含まれるので、有効にするだけで利用できます。
MIB監視のメリット
システム監視にMIBを使うとどのようなメリットがあるのでしょうか。
また、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
<MIB監視のメリット>
MIB監視を使うメリットには以下のようなものがあります。
- 業界標準の規格なのでベンダーに関係なく利用できる
- エージェント機能はあらかじめ組み込まれている
<MIB監視のデメリット>
逆にMIB監視を使うことで以下のようなデメリットがあります。
- 機器が多くなると監視のための通信量が増えてしまう
このようにMIB監視を行うことは多くのメリットがありますが、デメリットもあるので理解しておきましょう。
しかしながら、機器の監視は欠かせないことですので、監視をしないという選択肢はないと考えてください。
MIB監視と合わせてセキュリティ対策もすすめましょう
またサーバーには様々なセキュリティ対策も必要です。
WinserverのVPSはオプションでWAF導入可能、共用サーバーはWAF導入済みです。
是非この機会に合わせてご検討ください。
MIB監視を実現する方法とは
ここまで解説して、MIB監視を行うことの意味や重要性が理解できたのではないでしょうか。
最後に具体的にMIB監視を導入する方法について見て行きましょう。
MIB監視の実装の方法とは
実際にMIB監視を実装するにはどのようにすれば良いのでしょうか。
まず必要なことは「SNMPエージェントの有効化」です。監視対象のデバイスでSNMPを有効化し、どのサーバーに飛ばすかを設定します。
また、コミュニティ名といったものを設定します。
これは、監視対象のグループのようなもので、同じコミュニティに属する機器が一律の監視対象となります。
その上で、サーバー側では、同様にコミュニティ名を設定することはもちろん、どの端末やネットワークセグメントから通知を受け取るのかといった設定を行います。
サーバーをレンタルして使用される場合はぜひWinserverをご検討ください。
MIB監視の可視化
単にMIB監視で端末から情報が送られてきても、文字だけでは情報は掴みにくいです。
そのため、情報を可視化する方法があります。
可視化することで状態の確認や異常の検知が的確に行えるようになります。
MIB監視の可視化には有償や無償の監視ツールを使う方法があります。
たとえば、以下のようなものがあります。
<無償監視ツール>
- MRTG
- Collected
など
<有償監視ツール>
・OpManager
・パトロールクラリス
など
さらには、Zabbix、SystemWalkerなどのように独自のエージェントを使うことで、さらに詳細な多くの情報を得ることができるようなツールもあります。
MIB監視としてより簡単かつ便利な方法とは
システムの監視は多くのサーバーや端末を適切に管理し、運用するためには欠かせません。
しかし、監視の仕組みを構築し、運用するのはなかなかの手間がかかります。
より手軽に監視や管理の運用を行う方法はないのでしょうか?
たとえばSNMPマネージャは以下のようにクラウドで提供されているケースがあります。
- Site24x7
- LogicMonitor
こうした製品は月額いくらなどの低価格で提供されているケースも多く、小規模から手軽に使えるようになっているため、システム規模が小さい場合はこうしたサービスを使うのも良いでしょう。
まとめ
企業など大きな組織になればなるほど多くのサーバーやコンピューター、スマートフォンなどの情報機器があります。
そして、それらを管理、運用することは情報資産の管理、システムの適切な運用、セキュリティなどさまざまな面から不可欠であると言えます。
MIBは、今回解説したように業界標準とも言える規格であり、これを活用したシステム監視の仕組みは幅広く使われていると同時に手軽に導入できるものでもあります。
今回は、メリットやデメリット、導入方法なども解説しました。
機器の監視や運用に懸念がある、もう少し適切な運用をといった課題を抱えている場合は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。