昨今では、ネットワークの利用が拡大し、その重要性が高まっています。
たとえば、家電や自動車などがインターネットにつながる「IoT」や、テレワークやリモートワークといった働き方を実現するためには、ネットワークが重要な役割を果たしています。
このようにネットワークの利用が拡大する中で課題となっているのが、「セキュリティ」の問題です。
通信の盗聴や不正アクセスなど、ネットワークを介した犯罪による被害を防ぐためには、ネットワークにおけるセキュリティレベルの向上が不可欠です。
今回は、ネットワークのセキュリティを強化するための「VPN」の仕組みや種類、導入によるメリットをわかりやすく解説します。
目次
VPNとは
VPNは、高いレベルのネットワークセキュリティを実現する仕組みです。
具体的な仕組みはどのようなもので、なぜ必要となったのでしょうか。
VPNの概要
VPN(Virtual Private Network)とは、「インターネット上に構築された、仮想的で、特定の許可された人しか接続できないネットワーク」を意味します。
一般的なインターネットをはじめとするネットワークは、不特定多数の人に利用されていますよね。
そのため、通信の盗聴などのセキュリティ上の問題が起こることもあります。
しかし、VPNは特定の人だけが利用できるネットワークであるため、高いレベルのセキュリティが確保できます。
VPNが必要となった理由
従来のネットワークではなく、なぜVPNが必要となったのでしょうか。
その理由の一つは、サイバー攻撃の増加によって、セキュリティレベルを向上させる必要性が高まっていることです。
また、情報化社会の進展により、個人情報などの重要な情報がネットワーク上におかれるケースが増えたことも挙げられます。
つまり、以下のような2つの理由があります。
- サイバー攻撃の増大などに対するセキュリティレベルの向上
- 個人情報などを確実に保護するため
個人情報については今年の4月に改正個人情報保護法が施行され、従来の内容と比べて権利保護や罰則の強化、事業者の責務など多くの内容が盛り込まれています。
このように情報の重要性が高まるにつれて、情報の流出がもたらすリスクが拡大します。
このような状況も、VPNへの注目が集まる一因になっていると言えるでしょう。
VPNとテレワークの関係
ここ数年で新しい働き方が広がっていることも、VPNの需要拡大につながっています。
新型コロナウイルスの影響により、「在宅でリモートワークをする」、「自宅でオンライン授業を受講する」など、インターネットを介した仕事や学習の機会が急激に増加しました。
こうした状況は、VPNのようなセキュリティを確保した通信のニーズを急速に高めました。
東京都などの自治体では、テレワークの導入に対して補助金を出すところもあります。
このように、新型コロナウイルスの感染拡大もテレワーク拡大、ひいてはVPNの需要増加の一因となっています。

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VPNの仕組み
VPNは、通常のインターネット回線とは仮想的に切り離すことで、高いセキュリティを実現する仕組みです。
次に、VPNの具体的な仕組みについて確認しましょう。
一般的にVPNには、以下の3種類の方法があります。
インターネットVPN
専用のVPN機器やソフトウェアを使うことで、インターネット上に仮想ネットワークを構築するものです。
他の2つと比べて安価で、構築も手軽に行えます。
インターネットVPNは、IPsecやSSLなどの暗号化技術を用いて通常回線と仮想的に隔離させますが、データの盗聴や不正アクセスの危険性は残ります。
また、あくまで通常のインターネット回線なので、速度が遅くなることがあります。

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IP-VPN
通信事業者が持っているクローズドネットワークを活用するもので、安定した信頼性の高いネットワークを利用できます。
通信事業者との契約は必要ですが、特に専用機器の導入は必要ありません。
ただし、先述のインターネットVPNと比較して高価になります。
広域イーサネット
通信事業者が持っている専用線を活用したものです。
高い安全性と通信品質を実現しており、利用できるプロトコル等にも制限がありません。
ただし、こちらも高価なのがデメリットです。
VPNで利用されるプロトコルについて
先ほど紹介したように、VPNには大きく分けて3つの方法があります。
その上で、安全かつ高速な通信を行うために、いくつかのVPNプロトコルが利用されています。
VPNプロトコルの種類
安全かつ高速な通信を行うために、VPNでは以下のような通信プロトコルが利用されています。
OpenVPN
オープンソースのVPNプロトコル。
さまざまな暗号化アルゴリズムやOSに対応しており、高速なことも特徴。
PPTP
Microsoftによって開発された古い暗号化方式。
後述のIPsecが256bitに対応するのに対してPPTPは128bitと強度が低い。
また、暗号化方式もRC4のみに固定されている。
これから新たにVPNを利用する場合は、別のVPNプロトコルを利用するほうがベター。
L2TP/IPSec
L2TPとIPsecは併せて提供されており、多くの機器で利用できるようになっている。
ただし速度が遅い。
IKEv2
MicrosoftとCiscoが開発したもので、IPsecなどと併せて利用する。
モバイル端末(特にBlackBerry)で使われる。
対応する機器が少ないのがデメリット。
SSTP
Microsoftが開発したもので、Windows Vista以降に搭載されている。
基本的にはWindows向けのプロトコル。
VPNプロトコルのおすすめは?
先ほど5つのプロトコルを紹介しましたが、実際におすすめのプロトコルはどれなのでしょうか。
結論から言うと、おすすめのプロトコルは「OpenVPN」です。
それは以下のような理由からです。
- 新しくセキュリティレベルが高い
- 速度が速い
- 多くの環境に対応しており、柔軟な設定ができる
など
VPNのメリットやデメリット
通常のインターネット接続などのネットワーク回線と比べて、VPNを使うとどういったメリットがあるのでしょうか。
また、逆にデメリットはあるのでしょうか。
VPNを利用するメリット
VPNのメリットには以下のようなものがあります。
- 暗号化された通信で安全に情報のやりとりができる
- 自宅や外出先からも社内ネットワークに安全にアクセスできる(テレワーク、ノマドワークへの対応)
- 比較的低コストで実現できる
など
VPNを利用するデメリット
逆にデメリットには以下のようなものがあります。
- 多少は導入運用コストがかかる
- 回線速度が遅くなる場合がある
- VPNでは、盗聴などのリスクがゼロになるわけではない
など
VPN環境の準備方法と、利用手順は?
先述の通り、VPNの需要が高まっている要因の一つが、テレワークやリモートワークの普及です。
VPNを活用してテレワーク環境を実現するにはどのようにすればよいのでしょうか?
VPN環境の準備と、実際に利用する手順に注目して見ていきましょう。
VPN環境に必要なもの
VPN環境を実現するには、以下のものが必要となります。
- VPNサーバー
VPNサーバーは、VPNを提供するための仕組みです。
実際にサーバーを構築する方法、ルーターやNASなどに搭載されている場合、などいくつかの方法があります。
- VPNクライアント
VPNクライアントは、VPNサーバーに接続してVPN利用をするためのものです。
OSの機能を使う方法や、専用のソフトウェアを利用する方法などがあります。
専用のソフトウェアには、無償ではSoftEtherVPN、有償ではNorton Secure VPNなどがあります。

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VPNを使用する手順
実際にVPNを使う場合には、先に挙げたようなものを準備した上で、ネットワーク機器に以下のような設定を行う必要があります。
- ファイアウォールの設定:VPNに必要なポートを開放
- ルーターの設定:VPN接続を内外でつなぐ設定
その上で、サーバーを起動するとクライアントから接続が行えるようになります。
まとめ
VPNは、専用線のように安全で秘匿性の高いネットワーク接続を実現する仕組みです。
この仕組みは、サイバー攻撃を防ぐためにセキュリティを向上させるニーズが高まっていることや、テレワークなどの新しい働き方が広がる中で、急速に需要が拡大しています。
今回は、VPNの種類として「インターネットVPN」、「IP-VPN」、「広域イーサネット」の3種類を紹介しました。
また、通信に使う際のプロトコルには、強固で高速なOpenVPNからあまりおすすめできないものまで種類があることを開設しました。
実際にVPNを使う場合には、どの方式を選択するのかということが重要なポイントになります。
また、紹介したようなメリットやデメリットを理解しておくことも大切です。
いずれにしても高いレベルのセキュリティが必要とされる現状や、テレワークやクラウド利用などの拡大を考えると今後もVPNの利用は広がっていくことでしょう。
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インストールマニュアル
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