プログラミング言語には、CやJava、Rubyなどさまざまなものがあり、目的に合わせて使い分けられています。
Python(パイソン)は、今最も注目されているプログラミング言語と言っても過言ではありません。
WebフレームワークによるWebアプリの開発や、ゲーム等の開発など多くの場面で使われています。
そして、Pythonが人気を集めている最大の理由は、機械学習やディープラーニングなどAI(人工知能)の開発で活用されている点です。
今回は、こうしたトレンドの言語であるPythonについて、特徴や強み、将来性まで徹底解説します。
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目次
Pythonはどのような言語?
2022年現在、最も旬なプログラミング言語にPythonを挙げる人も多いのではないでしょうか。
Pythonとはどのような言語なのでしょうか。
そして、なぜこれほどまでに注目されているのでしょうか?
Python誕生の背景
Pythonはいつ、どのような目的で開発されたのでしょうか。
Pythonが開発された背景を見てみましょう。
Pythonの開発者
Pythonは、オランダ人プログラマーのグイド・ヴァンロッサム(Guido van Rossum)氏によって、1991年にリリースされました。
Pythonという名前は、ヴァンロッサム氏が好んだイギリスBBC制作のコメディー番組『空飛ぶモンティ・パイソン』から名付けられたと言われています。
ヴァンロッサム氏は、Pythonの生みの親として「Benevolent Dictator For Life」(優しい終身の独裁者:BDFL)と称されました。
BDFLとは、オープンソースのソフトウェア開発者に与えられる称号であり、開発コミュニティで論争が発生した場合に最終的な決定権を持つ人のことを指します。
2018年、ヴァンロッサム氏はPythonのBDFLから退くことを発表しましたが、現在もPython開発に携わっており、世界中のプログラマーたちから尊敬され続けています。
Pythonの誕生
Python誕生の背景についても簡単に触れておきましょう。
ヴァンロッサム氏は、シンプルかつ学習が容易で、実用的な言語を目指してPythonを開発しました。
かつて幅広く利用されていたCやPascalなどのプログラミング言語には、次のような問題点がありました。
- 記述が複雑で、コードが膨大な長さになる
- 機能を追加するためにその都度コードを書く必要があり、開発に時間がかかる
- Webサービス、セキュリティ、データベース解析など新たな需要の高まりに対応していない
このような背景の中、初心者にも優しく、新技術にも対応する言語としてPythonが誕生しました。
Pythonの特徴と強み
多くのエンジニアに愛されているPythonには、どのような特徴があるのでしょうか。
Pythonの強みについて確認しましょう。
初心者でも読みやすく書きやすいコードの実現
Pythonの最大の特徴が、「シンプルな文法で構成されており、初心者でもとっつきやすい」という点です。
PythonとJavaの記述方法の違いを、言語学習で最初に実行されることの多い「Hello World」プログラムを例に挙げて説明します。
Pythonでは、下記のコードを記述するだけで「Hello World」を実行できます。
print(‘Hello World’)
とても簡単ですね。
一方、Javaで同じことを行う場合は、下記の5行のコードが必要になります。
まず、クラス名を宣言し、mainメソッドを定義した上で、何を表示するかを記述しなければなりません。
public class HelloWorld {
public static void main (String[] args) {
System.out.println(“Hello World”);
}
}
このように、Pythonはシンプルな文法、かつ少ないコードで機能を実装できる点が大きな強みです。
Pythonの開発環境として有名なJupyter Notebookについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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数多くのライブラリの提供
Pythonが人気を集める理由に、ライブラリが多数提供されているという点があります。
ライブラリとは、汎用性の高いコードをひとまとまりにしたものです。
ライブラリは自分のプログラムにインストールすることができるため、プログラムを一から記述する必要なく、特殊な機能を組み込むことができます。
有名なライブラリには、次のようなものがあります。
- random(乱数を生成できるライブラリ)
- datetime(日付や時間を取得するためのライブラリ)
- math(複雑な計算を実行するためのライブラリ)
ライブラリを使いこなすことで、開発を効率化できるのがPythonの魅力の一つですね。
フレームワークなどによるWeb対応、Webセキュリティの実装
フレームワークとは、アプリケーションの骨組みをまとめたツールのことです。
フレームワークを使用するメリットは次の2点です。
第一に、フレームワークを活用することで、アプリケーションの開発を高速化することができます。
第二に、セキュリティ対策を簡単に行える点です。
自作でセキュリティ対策のコードを記述するよりも、フレームワークを用いて実績のある機能を追加するほうが、安全性を担保することができますよね。
今回は、もっとも有名なフレームワークであるDjangoについて簡単にご説明します。
<Djangoとは>
Djangoは、Pythonで作られているオープンソースのフレームワークで、Webアプリケーションを高品質かつ短いコードで開発するために利用されています。
Djangoには、開発でよく使われる「ユーザー認証」「管理画面」「サイト案内のページ」「RSSフィード」などの機能が最初から用意されています。
自分のプログラムでそれらの機能を使いたいときに呼び出すだけで実装が完了するため、開発にかかる時間を大幅に短縮することができます。
Pythonはなぜ注目されている?
Pythonがここまで注目されているのは
人工知能(AI)の分野で使われる
ためです。
AIを優秀なものにするためには、機械学習やディープラーニングによって多くのデータを学習させる必要があります。
Pythonは、AIの学習で使われる膨大なデータ(ビッグデータ)を統計的に解析し、意味のある情報を取り出すための「データサイエンス」の分野で大きく貢献しています。
今後AIについて学習したい人や、AI関係の職業に就きたい方には、Pythonは必須の知識であると言えるでしょう。
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Pythonのバージョンによる違い
Pythonについての理解を深めるため、Pythonの辿ってきた歴史を簡単に見ていきましょう。
- Python 0.90
Pythonは、1980年代にC言語などの古い言語の後継として開発され、1991年に最初のバージョン0.90がリリースされました。
- Python 1.0
1994年にバージョン1.0のリリースが行われました。
- Python 2.0
2000年にリスト内包表記や参照カウントによるガベージコレクションシステムなどを備えたバージョン2.0がリリースされました。
- Python 3.0
2008年にバージョン3.0がリリースされました。
下位互換性を持たない大規模な改訂となっており、これまでのプログラムを変更する必要があります。
これからPythonを学習するなら、バージョン3.0を選択されるのをお勧めします。
Pythonが使われる分野
現在、Pythonはさまざまな分野で使われ、IT技術の進歩を支えています。
今回は、いくつかの具体例を挙げてPythonの活用例を解説します。
AI(人工知能)での活用
先述したように、PythonはAIを搭載したソフトウェアの開発で利用されることが多くあります。
成長分野で幅広く活用されているという点は、Pythonを学習する上で大きなモチベーションになりますよね。
Pythonでは人工知能の開発に便利なライブラリ(Numpyやmatplotlib、tensorflowなど)が豊富に提供されており、スムーズな開発が行えるようになっています。
画像処理などでの活用
AIを使った画像処理(画像解析)や映像処理(映像解析)でも、Pythonによって開発されたソフトウェアがよく利用されます。
画像処理とは、画像を入力して何らかの判断を行わせることを指します。
現在ではガンの病理検査や工場の検品での活用が進んでいます。
人間よりも正確で、24時間365日稼働させることができるため、今後もますます利活用が進むでしょう。
画像解析や映像解析については、こちらの記事で詳細に説明しています。
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ブロックチェーンなどフィンテックでの活用
フィンテック(FinTech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)をかけ合わせた言葉で、2000年代から耳にするようになりました。
ブロックチェーンとは、取引の記録を鎖のように繋ぎ合わせて記録する方法で、仮想通貨の取引の安全性を保つために利用されています。
フィンテックでは、暗号化や数値処理が必要となります。
Pythonは、ハッシュ関数による暗号化の仕組みや、豊富な数値ライブラリを持つことから、フィンテックの分野でも活用されています。
キャリアアップにもつながるPython
Webサービスなど、トレンドの業界でも使われるだけでなく、AIやIoTなど将来伸びていく技術にも活用されるPythonを学ぶことは、技術者としてのキャリアアップにもつながります。
国内外で高まるPython需要
HackerRank社が、2020年に世界の10万人余りの開発者に行ったアンケート結果によると、「技術者が次に習得したい言語」の2位としてPythonがランキングされています。
1位:Go(36.2%)
2位:Python(27.7%)
3位:Kotlin(24.9%)
また、「需要のあるプログラミング言語」のランキングでも同様に2位となっています。
では、日本国内の求人動向はどのようになっているでしょうか。
各プログラミング言語の求人件数をIndeedで検索し、表にまとめました。(※2021年1月7日現在)
求人数だけを見ても、Pythonは、JavaやC系言語の次に需要が高いことがわかります。
今後ますますAIやビッグデータの利活用が進むことを考えると、Pythonを扱える人材の需要は引き続き高い状態が続くと予想されます。
【プログラミング言語別の求人件数】
言語 | 求人件数 |
---|---|
Java | 95,861 件 |
C | 58,872 件 |
C# | 56,434 件 |
Python | 52,892 件 |
JavaScript | 47,069 件 |
Pythonを使う職業
Pythonの学習を進めることにより、このような分野の職業で活躍のチャンスが広がる可能性があります。
<AIエンジニア>
先述したように、「機械学習」や「ディープラーニング」の技術を用いてAIに学習させるエンジニアには、Pythonの知識が必須です。
<ゲームクリエイター>
Pythonではゲーム開発に利用できるライブラリやフレームワークが提供されており、2Dから3Dまで好みのゲームを製作することができます。
シンプルな文法でわかりやすく記述できるため、複数人でのゲーム開発にも向いている言語であると言えます。
<フィンテックエンジニア>
ブロックチェーンの開発にもPythonが使われているため、フィンテック業界で活躍したい人にもPythonの知識が求められています。
<Webエンジニア>
Pythonで提供される豊富なフレームワークを使いこなすことで、あらゆる機能を持ったアプリケーションを短期間で制作することが可能になります。
身近な例では、YouTubeやInstagram、DropboxなどのWebアプリケーションがPythonで実装されています。
このように、求人需要が高く、技術者からの人気も高いPythonを学ぶことで、将来的な安定や高収入を得られる可能性が高いと言えるでしょう。
効率よくPythonを学ぶには
さて、キャリアアップにもつながることが分かった注目のプログラミング言語Pythonですが、どのようにすれば効率よく学習することができるのでしょうか。
Python学習のポイント
Pythonは、同じ動作をさせるコードを記述する場合にも、C言語などと比べて非常にシンプルです。
効率的にPythonの学習を行う方法として、以下3つの方法が挙げられます。
- 書籍
- プログラミングスクール
- オンライン学習教材
初めてプログラミング言語を学習する方には、プログラミングスクールで基礎から丁寧に習得することが近道と言えるでしょう。
メンターによるサポートが充実しているスクールや、就職支援が手厚いスクールなど、学習の目的に合ったスクールを選ぶことで、自身の将来像に近づくことができます。
プログラミングスクールが高額で手を出しづらい方には、必要な内容を選んで受講できるオンライン教材の活用がおすすめです。
「データ分析を学びたい」や「DjangoでWebアプリケーションを作りたい」など、Pythonの何を学びたいかが明確な場合は、自分のレベルや目的に合わせた教材をオンラインで探してみましょう。
すでに別の言語の学習経験がある方は、書籍を読みながらコードを書いてみるのをお勧めします。
すき間時間での学習にも向いているので、まとまった時間が取れない方も、まずは本から学習をスタートするのが良いでしょう。
学習の注意点
前項でPython学習のポイントを解説しましたが、学習を進める際に注意しておくべきポイントがあります。
それは、「Pythonにはバージョン2.0と3.0の2種類があり、互換性がない」という点です。
これは、Unicode対応など3.0へのアップグレードを実施する際に大幅な変更が行われたことによります。
これから学習するのであれば、基本的には3.0を選択すれば問題ないでしょう。
ただし、既存のコードの中には2.0で実装されたものも存在するため、仕事で使うために学習する場合などは、2.0と3.0のどちらを学習するべきかを確認してから始めるようにしましょう。
まとめ
C言語などの次世代にあたる言語として開発されたPythonは、Webサービスなどで利用が拡大しています。
しかし、Pythonがもっとも注目されているのは、AIやIoTなどといった未来へ向けた新しい技術で活用されるという側面です。
Pythonは、AIに深く関わるディープラーニング、IoTで使われるセンサーなどにも広く使われており、今後将来にわたって利用が拡大していくことは間違いないでしょう。
求人需要も安定しており、キャリアアップにも役立つと言えます。
ライブラリやフレームワークなどの便利な機能を活用しながら効率よく学習し、Pythonへの理解を深めましょう。
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