企業や組織などでは、Webやメール、データベースなど多くの情報システムを利用しています。
さらには、最近ではクラウドの活用など情報システムが非常に複雑なものとなっています。
これらに関係する多数のサーバーを運用するためには、効率よく統合的に管理をする必要があります。
そういった際に役に立つのが、今回紹介する「Windows Admin Center」です。
本記事では、Windows Admin Centerについて、概要や機能、利用方法やメリットについて解説します。
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目次
Windows Admin Centerとは
サーバーの管理をする場合は、リモートデスクトップ接続ツールやTelnet、SSHなどのコマンドライン接続を活用してリモートで行うケースがほとんどです。
複数のサーバーを管理する場合は、管理対象のサーバーごとに接続する必要があります。
多くのサーバーを1台ずつ見ることになるため、非常に手間がかかり、管理が煩雑になりますよね。
また、障害等の検知を行う際にも問題を見つけるのに時間がかかってしまう、見落としてしまうということも起こりえます。
この問題を解決するのが「Windows Admin Center」です。
Windows Admin Centerは、Webブラウザベースの画面で複数のサーバーを統合的に管理できるツールです。
リモートで各サーバーに接続するのでなく、多くのサーバーを一元管理できるようになり、管理の手間が軽減されます。
システム全体の状況把握が容易になることで、迅速な障害検知が可能となります。
Windows Admin Centerで管理できるもの
情報インフラには、サーバーだけでなくPCやネットワーク機器、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスといったさまざまなデバイスがあります。
Windows Admin Centerでの管理対象になるのは、どのようなものなのでしょうか。
Windows Admin Centerで管理が出来るのは「サーバー」であり、さらに具体的に以下のWindows OSが搭載されているものとなります。
- Windows Server 2022
- Windows Server 2019
- Windows Server 2016
- Windows Server 2012 R2
- Windows Server 2012
- Windows 10
- Azure Stack HCI
など
つまり、「管理対象はWindowsが搭載されているコンピュータ」であると言えます。
Windows Admin Centerを使うメリットやデメリット
WWindows系OSのサーバーを統合的に管理できるWindows Admin Centerですが、使うことでどのようなメリットがあるのでしょうか。
また、逆にデメリットはないのでしょうか。
Windows Admin Centerのメリット
- オンプレミス、クラウドの両方のWindowsサーバーを一元管理できる
- 操作性の高いGUI画面からの管理が可能
- ハイブリッド環境(オンプレミス+クラウド)の運用が可能
など
Windows Admin Centerのデメリット
- 従来行われていたような複数ウインドウを起動して切り替えて使うといったことは出来ない
- サーバー台数が少ないとあまり意味がない
- Windows以外のOS(Linuxなど)のシステムがある場合、管理できない
など
一番のメリットは、複数のサーバーの統合管理が行えるという点です。
逆に、機器台数が少ない場合にはあまりメリットがないとも言えます。
Windows Admin Centerはクラウドやコンテナなどの新しい技術へのサポートも強化されているため、機器台数が少ない場合でも導入を前向きに進めると良いでしょう。
Windows Admin Centerと他の統合管理システムとの違い
複数の情報システム関連機器の管理や監視をする仕組みには、Windows Admin Center以外にもさまざまなものがあります。
ここでは、それらとWindows Admin Centerを比較してみましょう。
Windows Admin Center以外の統合管理システムとは
Windows Admin Center以外に、よく使われている統合管理システムにはどのようなものがあるのでしょうか。
有償、無償に分けてご紹介します。
有償の統合管理システム
有償のツールには、以下のようなものがあります。
- JP1
- ManageEngine OpManager
- System Answer G3
など
無償の統合管理システム
無償のツールには、以下のようなものがあります。
- Zabbix
- Nagios
- Hinemos
など
Windows Admin Centerと他の統合管理システムとの比較
Windows Admin Centerと他の統合管理システムとの違いは、どのような点でしょうか。
Windows Admin Center、有償のツール、無償のツールの3つを比較してみましょう。
なお、有償、無償のツールについては、いろいろなものがあるので一般的な内容にまとめます。
Windows Admin Center | 有償の統合管理システム | 無償の統合管理システム | |
---|---|---|---|
対象OS | ・Windows, ・Windows Server | 様々なOSに対応 | 様々なOSに対応 |
費用 | 不要 | 必要 | 不要 |
追加エージェント等 | 不要 | 必要な場合が多い | 必要な場合が多い |
対象機器 | サーバーのみ | ネットワーク機器などが可能なものもある | ネットワーク機器などが可能なものもある |
導入の難しさ | 容易 | 比較的容易 | 難しい場合もある |
信頼性 | 高い | 比較的高い | 普通 |
サポート体制 | 充実している | 普通 | 不十分な場合もある |
Windows Admin Centerを選ぶ理由とは
Windows Admin Center以外にも多くの統合管理システムが存在する中で、Windows Admin Centerが選ばれる理由は何でしょうか。
- OSベンダーが出している親和性の高さと信頼感
- Windowsの操作に合った操作感の良さ
- Microsoftならではの充実したサポート体制
まずは、この3つが挙げられるでしょう。
他にも、「追加のコストが不要」、「導入のしやすさ」といった意見も出てくるはずです。
このように、Windows Admin Centerを選ぶ理由としては、信頼性やサポート体制などMicrosoftならではのメリットがあります。
Windows Admin Centerと、クラウドやコンテナ
巨大ITベンダーであるMicrosoftは、自社のクラウドサービスであるMicrosoft Azureを提供しています。
もちろん、Windows Admin CenterはAzureにも対応しています。
こうしたクラウドサービスとの連携は具体的にどのようになっているのでしょうか。
また、最近、使われることが増えたコンテナ環境は管理できるのでしょうか。
Windows Admin Centerのクラウドへの対応
AWSやGCP、Azureなどのクラウド環境へもWindows Admin Centerは対応しています。
とくに、MicrosoftがリリースしているAzureでは、オンプレミスとのハイブリッド環境のサポートや、ハイパーコンバージド環境のサポートなど、さまざまな機能が付与されています。
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Windows Admin Centerのコンテナへの対応
Windows Admin Centerでコンテナ拡張機能を使うことで、コンテナが使えるようになります。
Dockerに代表されるようなコンテナ環境のサポートも最新のWindows Server 2022では強化されており、コンテナをより便利に使用することができるようになりました。
例えば以下のような点です。
- アプリケーションのコンテナ化をより容易に
- AzureのコンテナプラットフォームであるAKS(Azure Kubernetes Service)への直接デプロイのサポート
このように新しいトレンドの技術への対応も着々と強化されています。
Dockerについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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Windows Admin Centerの使い方や注意点
具体的にWindows Admin Centerを使う場合には、どのようにすればよいのでしょうか。
また、注意すべき点にはどのようなものがあるのでしょうか。
Windows Admin Centerの使用方法
Windows Admin Centerの使用方法は、インストールするデバイスによって2つのパターンに分かれます。
どちらの場合でも、まずはMicrosoft公式サイトからのダウンロードが必要になります。
- Windows Admin Center
https://www.microsoft.com/ja-jp/windows-server/windows-admin-center
<パターン1: Windows 10の端末にインストールするケース>
Windows10の端末にインストールする場合は、端末からのみアクセスして利用できます。
<パターン2:Windows Serverにインストールするケース>
端末ではなくサーバーにインストールする場合は、インストールしたサーバーにWebブラウザ経由でアクセスして利用します。
Windows Admin Centerの注意点
Windows Admin Centerを使う場合、Windows Serverでもドメインコントローラには導入できないので注意しましょう。
また、あくまでWindows Serverの管理を行うための仕組みなので、それ以外のLinuxなどのサーバーは管理対象外です。
Windows Server以外のサーバーが管理対象に含まれている場合は、別の方法を検討する必要があるかもしれません。
まとめ
多数のサーバーを適切に管理し、運用することは非常に手間がかかります。
管理が煩雑になると、オペレーションミスを誘発してしまうこともあるかもしれません。
こういった問題を解決するのが、Windows Serverを統合管理するWindows Admin Centerです。
Windows Admin Centerには、「LinuxなどWindows以外のOSは管理できない」「ドメインコントローラには導入できない」などの注意点はありますが、操作性の高いGUI画面から統合的に管理できる大きなメリットがあります。
また、Azureをはじめとするクラウドサービスや、最近流行りのコンテナ環境もサポートされています。
こうした環境を利用したい人にとってもWindows Admin Centerはおすすめです。
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