オブザーバビリティは、「Observe:観察する」と「Ability:能力」が組み合わさっており、日本語では「可観測性」や「観察する能力」などと訳されます。
現在のITシステム運用での情報システムの安定性やパフォーマンスの確保に欠かせないものとなっています。
クラウドサービスの拡大に伴い、従来のモニタリングや監視手法のみでは運用が困難になっています。
今回は、そうした背景の中で注目されているオブザーバビリティについて基本的な概念や拡大の背景とメリット、そして将来性などを見ていきます。
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目次
オブザーバビリティとは
まずはオブザーバビリティとはどのようなものなのか、基本的なところから見ていきましょう。
併せてオブザーバビリティが注目されるきっかけともなっているクラウドネイティブな分散システムについても解説します。
オブザーバビリティの基本
オブザーバビリティ(可観測性)とは、現代のクラウドネイティブな分散型情報システムの中で、システムの状態や挙動を確実に観測できるように「見える化」することを表します。
システム内で異常が起こった際に、健全性や問題を診断する能力のことを指します。
クラウドネイティブな分散型システムでは、従来型のモノリシックなシステムと比較すると、コンポーネントが複雑に構成され、相互に依存しているため、全体の状態把握が難しくなっています。
このため、オブザーバビリティにより、システム内部の各コンポーネントやプロセスの状態をリアルタイムで収集し観測することがかのうちなり、トラブルシューティングやパフォーマンスの最適化がより容易になっています。
クラウドネイティブな分散システムとは
ここで、先程出てきたクラウドネイティブな分散システムと、従来型のモノリシックなシステムについて解説しておきましょう。
クラウドネイティブな分散システムの特徴
クラウドネイティブな分散システムとは、クラウドの基盤を活用して構築された、高度に柔軟でスケーラブルなアプリケーションシステムのことを指します。3点特徴を解説します。
マイクロサービスアーキテクチャ
大きな単一のアプリケーションを小さなサービス群に分割する設計方法。
各マイクロサービスは独立しており、特定の機能やビジネスロジックに分かれる。各サービスを個別に開発、デプロイ、スケールすることが可能。
各システムの独自データベースによる分散データ管理
各マイクロサービスが自身のデータベースを持ち、データ管理を行うことで、各サービスがデータの独立性を保ちながら操作を行う。
このアプローチにより、データの整合性を保ちつつ、サービス間での影響を最小限に抑えることが可能。
高い柔軟性とスケーラビリティ
マイクロサービスは独立しているため、特定のサービスのみをスケールすることができ、必要に応じてリソース(サーバー、ストレージなど)を追加・削除することが容易。
また、各サービスが独立しているため、新しい技術への適応やアップデートが他のコンポーネントに影響を与えることなく行える。
これらの特徴により、クラウドネイティブな分散システムは、変化に強く、ビジネスの成長や市場の変動に迅速に対応できるため、多くの企業にとって魅力的な選択肢となっています。
モノリシックなシステムの特徴
モノリシックなシステムとは、従来のアプリケーション開発モデルにおいて広く採用されているアーキテクチャスタイルです。
このアプローチでは、アプリケーションが単一の大きなコードベースとして開発され、一つの実行可能ファイルやアプリケーションサーバーで動作します。
3点特徴を解説します。
単一コードベース
全ての機能(UI、ビジネスロジック、データアクセスなど)は一つのコードベースに統合されている。
統一的なデータベース
アプリケーション全体が単一のデータベースインスタンスを使用してデータ管理を行う。
データの一貫性と整合性を維持するのに有利だが、大規模なトランザクション処理や高負荷状態でのスケーラビリティが難しい側面を持つ。
修正と拡張が難しい
システムが成長するにつれて、その複雑性が増すため、新しい機能の追加や既存機能の修正が困難。
全てのコンポーネントが密結合しているため、小さな変更でも予期せぬ影響が生じる可能性がある。
クラウドネイティブな分散型システムは、モノリシックなシステムと比べて開発やデプロイの柔軟性、マイクロサービスの活用による耐障害性が向上しています。
反面、多数の独立したコンポーネントを効果的に監視し、管理するためのオペレーションはより複雑になるという課題があります。
このため、システム全体の可視性を確保し、効率的な運用を行うためには、高度なオブザーバビリティツールや戦略が必要です。
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オブザーバビリティが求められる背景
システム運用でオブザーバビリティが求められるようになったのは、どのような背景があるのでしょうか。
現代のIT環境は、クラウドネイティブな分散システムやマイクロサービスアーキテクチャの採用により、以前に比べて格段に複雑化しています。
この複雑性は、システム運用において新たな課題を生み出しています。
- システムの分散化
分散化されたことによりシステム内部の状態が把握しづらい - 動的スケーリングの必要性
クラウドベースの環境では、リソースの需要に応じて動的にスケールアップやスケールダウンが求められ、これを効果的に管理するには、リアルタイムでのパフォーマンスデータが必要 - 複雑な依存関係
マイクロサービス間の依存関係が複雑に絡み合っているため、一つのコンポーネントの問題が他の多くのサービスに影響を及ぼす - 異なるプラットフォームの混在
多様な技術スタックやデプロイ環境が使用されることが多く、これらの環境間での互換性やパフォーマンスを維持することが求められる
こうした複雑なシステムで適切に運用を行っていくには、従来のモニタリングや監視の手法では不十分となり、それに代わるものとしてオブザーバビリティが注目されるようになりました。
オブザーバビリティと従来のモニタリング(監視)との違い
従来からシステム運用ではモニタリングと呼ばれる手法で監視を行うことが一般的です。
オブザーバビリティは、こうした手法と何が違うのでしょうか。
オブザーバビリティとモニタリングの定義と役割
オブザーバビリティは、従来のモニタリングと多くの面で異なるアプローチを採用しています。
では、両者の違いはどういったところにあるのでしょうか。
まず、両者の特徴を解説します。
オブザーバビリティ
システム内部の状態や各コンポーネントの相互作用を観測可能な状態にしておくこと。
モニタリング
システムやサービスの動作やパフォーマンスを定期的に監視し、状態やトレンドを把握する
これを見ると、内容がよく似ているように感じられます。
その違いについては次の項で確認しましょう。
オブザーバビリティとモニタリングの違い
先程の解説を踏まえて、オブザーバビリティとモニタリングの違いを考えてみましょう。
オブザーバビリティ
予期せぬことが起きたときになぜそれが起きたのかを把握する
システム内部の詳細な情報や相互作用を提供することに焦点を当てている。
モニタリング
何が起きているのかを観察する
→システムの全体的な状態やパフォーマンスを把握することに焦点を当てている。
オブザーバビリティとモニタリングは、全く違うものではなく、現代のクラウドネイティブの分散型システムのようなモニタリングでは不十分なケースに対して、オブザーバビリティの手法で補完するものとなっています。
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オブザーバビリティのメリットとデメリット
従来の手法ではなく、オブザーバビリティを使うとどのようなメリットがあるのでしょうか。
また、使うことにより逆にデメリットとなるような点はあるのでしょうか。
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オブザーバビリティのメリット
- 問題の早期発見と迅速な対応が可能
異常行動やパフォーマンス低下を素早く検出する能力を提供し、それらに対する直ちに対応することができます。
これにより、ダウンタイムを短縮し、潜在的な障害を未然に防ぐことが可能です。
- トラブルシューティングの効率化の実現
集約されたデータと洞察を用いて、システムの問題を素早く特定し、原因を根本から解決するための情報を提供します。
これにより、技術チームの作業時間を削減し、効率的な運用が可能になります。
- ユーザーエクスペリエンスの向上
システムのパフォーマンスがリアルタイムで監視されるため、ユーザーが直面する問題を迅速に修正し、顧客満足度を高めることができます。
- データ駆動型の意思決定が可能
運用データに基づく洞察を提供し、より情報に基づいた意思決定を可能にします。
これにより、戦略的なビジネスの意思決定が強化され、リスクの低減に寄与します。
- システム内部状況の可観測性の向上
詳細なメトリクスとログを提供することで、システム内部の透明性が高まり、運用チームはシステムの状態を正確に把握できるようになります。
これは、セキュリティ対策やコンプライアンスの要求に応える上でも大きな利点です。
オブザーバビリティにより、従来のモニタリングではカバーできなかった領域を補い、これによってシステムの安定性やパフォーマンスが向上しています。
これは、現代の複雑なITシステムにとって不可欠なものとなっています。
オブザーバビリティのデメリット
- システム内部のさまざまな要素の情報を収集するため、管理運用コストの増加
- システムの詳細情報を処理するため、リソース消費の増大
- システム内部の詳細な情報を取得するため、セキュリティリスクの増加
- さまざまな内部情報を収集するためアラートが過剰に出される
- 適切なツールやプラットフォームを選択する実装や管理の難しさ
このようにオブザーバビリティは導入することで多くのメリットもあるものの、デメリットとなる点もあります。
導入する場合は、こうした点に対して適切な対策を行うことが必要となります。
オブザーバビリティがもたらす新しいIT運用とは
オブザーバビリティは、従来型のシステム運用とはいろいろな点で異なったものです。
こうしたオブザーバビリティの手法を活かすことで、従来とは違う新しいIT運用ができるようになります。
例えば、以下のようなことが可能となるでしょう。
- データ駆動型の運用
ルールベースの運用手法から脱却し、システムの豊富なデータに基づいた運用に変わることで、効率的な問題解決やシステムの最適化が可能となる
- 自動化と自動修復
システムが自己修復し、問題を即座に解決することで、運用チームの負荷を軽減し、サービスの可用性を向上させる
- サービスレベルの向上と顧客満足度の向上
サービスの可用性や品質が向上し、顧客満足度が向上する
- インシデント応答の向上
システム内部の状態や問題の原因を迅速に特定できるため、インシデントへの迅速な対応が可能となる
- リアルタイムでのリソース監視と管理
リアルタイムでリソースの利用状況や負荷状況を監視し、効果的なリソース管理を行うことが可能となる
このようにオブザーバビリティの考え方で、IT運用にさまざまな変化が起きてくることでしょう。
オブザーバビリティがもたらすIT運用の将来
オブザーバビリティは、従来のシステム運用に対していろいろな点で変化をもたらしていくものです。
そして、クラウドサービスの拡大などから、今後はこうした動きがさらに継続し、加速していくことでしょう。
では、オブザーバビリティが将来どのようにITシステムの運用を変えるのか、見ていきましょう。
- AI(人工知能)や機械学習アルゴリズムとの統合
- イベント駆動型によるリアルタイム性の高いシステム運用
- 自己診断や自己修復システムの普及
- データドリブンな意思決定による効果的なリソースの最適化と問題の解決
- 適切なSLAを実現するサービス試行運用の進化
このように、オブザーバビリティの進化により将来のIT運用は、より効率的で柔軟性の高い運用手法やシステムの自己管理能力の向上を通じて、企業や組織の競争力の強化をもたらすことでしょう。
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まとめ
オブザーバビリティは、複雑さが増し、クラウドネイティブな分散型システムが広がる現代のITシステム運用では、従来のモノリシックな環境で使われてきたモニタリングや監視の手法に代わるものとして、注目が高まっています。
オブザーバビリティを導入すると、リアルタイムでの状態把握や迅速な障害検知と対応が可能になりますが、これには複雑性の増加やリソース消費の増大などのデメリットも伴います。
しかしながら、AIや機械学習との統合、自己修復システムの搭載など、将来はさらに効果的で不可欠なものとなっていくことでしょう。
今回は、オブザーバビリティについて解説してきましたが、オブザーバビリティの導入により、IT運用はより柔軟かつ効率的な方向へと進化し、企業や組織の競争力向上に貢献することが期待されます。
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