ノーコードとは。特徴や向いている分野、ローコードとの違いを解説

皆さんは「ノーコード」という開発手法を聞いたことがあるでしょうか。

これまでのソフトウェアやアプリの開発とは、プログラミングのように膨大なソースコードを記述してデバッグ作業を繰り返すといったものでした。

「ノーコード」とは、従来の開発手法とは異なり、ドラッグ&ドロップのような直感的な操作だけでシステムなどを開発する手法のことです。

ノーコードによるソフトウェア開発は、従来の開発方法にはないさまざまなメリットがあり、急速に利用が広がっています。

今回は、ノーコードについて、特徴や向いている分野などを徹底解説します。

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ノーコードとは

ノーコード」(No Code)とは、名前の通りソースコードの記述をせずにWebサイトやアプリケーションの開発を行うことができる開発手法です。

実際に開発をする際はGUIの開発ツールで部品のドラッグ&ドロップなど直感的な操作による作業で進めます。

従来のプログラミングといえば、専門の知識や技術を持つプログラマーが膨大な量のコードを記述し、デバッグを繰り返して開発する方法が普通でした。

それに比べるとノーコードの手法は高度な知識や膨大なコードの記述も必要がないため,専門の技術や知識をそれほど持たない普通の人でも開発できたり、より迅速に開発が進められたりといろいろなメリットがある開発手法となっています。

なお、よくノーコードと併せて取り上げられる言葉にローコードと呼ばれる方法があります。

ソースコードを記述しないのが「ノーコード」であるのに対して、「ローコード」は出来る限り記述するコードを減らすといった方法です。

ノーコードとローコードの違いは後ほど解説します。

ノーコードによる開発が広がる背景

市場調査とコンサルティングを行なっている企業であるITRによると、ローコード/ノーコード開発市場の2020年の売上金額は、515億8000万円で、前年度比24.3%増となっています。

さらに、このレポートでは、2020〜2025年度の年平均成長率(CAGR)が24.4%に達すると予測しています。

このように、ノーコードの開発市場は急速に拡大しつつあり、今後ともその傾向は続くと考えられています。

その背景には、以下のような理由があります。

  • DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進への対応
  • IT人材の不足による技術者確保の難しさ
  • 企業競争力を高めるための迅速なシステム開発の必要性
  • ソフトウェアの開発手法の変化(ユーザーとベンダーの協業による開発)

など

またIT業界では経済産業省が提示している「2025年の崖」と呼ばれるレポートが以前から話題となっています。

これは、「既存のITシステムのブラックボックス化」「専門人材の不足」「保守予算の負担増」「新技術の壁」といった各種の課題の解決が必須であり、それが行えない場合に2025年以降、最大で年間12兆円の経済的損失が生じる可能性があるというものです。

ノーコードの利用拡大の背景には、こうした課題に対する解決策という理由もあります。

ノーコードと従来の開発手法やローコードとの違い

ノーコードによる開発手法は、従来の開発手法とはどのような点で違いがあるのでしょうか。

ここで改めて見ておきましょう。また、併せて先ほども少し触れたローコードとの違いについても解説します。

ノーコードと従来の開発手法との違い

ノーコードと、従来の開発手法は何が違うのでしょうか。

ここで両者を比較してみましょう。

<ノーコードの特徴>

ノーコードには、以下のような特徴があります。

    • コードを書かず、プログラミングが不要でアプリ開発ができる
    • 直感的なGUI画面でドラッグ&ドロップなどで開発が進められる
    • 専用のノーコードツールを使って開発をする
    • 専門の技術はそこまでいらない

<従来の開発手法の特徴>

従来の開発手法には、以下のような特徴があります。

    • 目的に合ったプログラミング言語を選択し、コードを記述する必要がある
    • GUI画面のある開発ツールもあるが、基本的にコードを記述する開発が主流
    • 開発ツールや汎用のプログラミングエディタなどを使う
    • 専門の知識や技術が必要

これを見るとわかるように、従来の開発業務といえば専門の技術者がコードを記述していく必要があったのが、ノーコードではそれほど知識がなくてもドラッグ&ドロップなどで開発が進められることがわかります。

このように、ノーコード開発は、従来の開発手法と比べてソフトウェア開発の裾野をはるかに広げるものとなっています。

ノーコードとローコードの違い

ノーコード以外に、ローコードと呼ばれるキーワードを聞かれたことがある人もいるのではないでしょうか。

以下では、ノーコードとローコードの違いについて見ておきましょう。

ローコードとは

ローコードは、ノーコードとは違いコードは記述する必要がある開発手法です。

しかし、従来の開発手法に比べて非常に少ない量のコードだけで開発できるといった優れものです。

ただし、コードを記述できるということで、ノーコードには難しい以下のようなことが実現できる大きなメリットを備えています。

  • コードを記述できるので、APIの採用などいろいろな機能が使える
  • 他のシステムとの連携なども可能
  • ノーコードと比べるといろいろな場面で使える

ローコードは、ノーコードと異なりコードが記述できるので、いろいろな機能の追加・他のシステムとの連携などができるため、使い道が格段に広がります。

ノーコードによる開発が適している分野

ローコードによる開発でなく、ノーコードによる開発が適しているケースには、どのようなものがあるのでしょうか。

  • WebサイトやECサイトなどの制作
  • アプリの開発
  • 業務のデジタル化のサポート

など

単純なWebサイトやアプリを開発する場合はノーコードが適切でしょう。

エンジニアのように高度な専門知識や技術を持たない人でも、ノーコードであれば比較的簡単に扱うことができます。

自分の業務の効率化を実現するために、簡単なシステムを開発するといったケースにも向いていますね。

ノーコードの開発ツールには何がある?

従来のローコード開発に適した開発ツールがあるように、ノーコード開発にも適した開発環境があります。

ここでは、そのいくつかを紹介します。

なお、ノーコードの開発環境にも目的に併せて向き不向きがあります。

<Bubble>

Bubbleは、米国の企業であるBubble Groupによって開発、リリースされているノーコードツールです。

GUI画面から開発が行えますが、表記が英語となっているのはデメリットであると言えます。

主にアプリケーションの開発に向いています。

<Shopify>

オンラインショッピングなどを提供するECサイトが簡単に作れるサービスです。

デザインなどもたくさん用意されており、手軽にサイトを作ることができます。

<docupilot>

docupilotは、事務作業での効率化に使える開発ツールです。

docupilotを使うことで、見積もりや納品書などいろいろなドキュメントの作成などの事務書類を簡単に作成することができます。

また、他の開発ツールと組み合わせることも可能となっています。

ノーコードの開発ツールにはこれら以外にもいろいろなものがあるので、目的に合わせて使うことが重要です。

また、AWSの Amazon HoneycodeGCPのAppSheeなど大手のクラウドサービスもノーコードの開発ツールを提供しています。

このように選択肢はたくさんあり、クラウドサービスでも提供しているので、目的や予算に合ったものをうまく選択しましょう。

ノーコードのメリットとデメリット

ノーコードによる開発は、従来の方法とは大きく異なっており、メリットもデメリットもあります。

<ノーコードのメリット>

ノーコードによる開発には、以下のようなメリットがあります。

    • 開発期間が短縮できるため、コスト削減や迅速な導入につながる
    • 視覚的に開発できるので、イメージや要望にそったものが作りやすい
    • 専門の技術者でなくても手軽に開発ができる

など

<ノーコードのデメリット>

逆に、ノーコードには以下のようなデメリットもあります。

    • 開発できる内容が限られており、複雑なものは難しい
    • 自由にカスタマイズした開発が難しい
    • ツールに依存する傾向がある

など

まとめ

従来からソフトウェアやアプリの開発作業というと、膨大な量のコードを専門の知識や技術のあるプログラマーが記述してはデバッグ作業を繰り返して製品にしていくといったイメージがあります。

当然のことながら開発を行えるには専門家だけとなります。

これに対して、今回解説したノーコード開発は、「コードを書かない」「GUI画面で感覚的に開発できる」「専門知識が不要」など、これまでの開発の常識を大きく変えるものとなっています。

これによって、「より速く簡単に」「専門家でなくても」など開発が様変わりするものとなり、大きく需要が伸びています。

今回、ノーコード開発について解説しましたが、今後採用を検討する場合は、多くのメリットとともにデメリットもあることを理解し、目的に合わせて行うようにしましょう。

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