Windowsの記憶域プールによるRAID構築。
特徴や故障時の対処法も解説。


ハードディスクはある日突然故障して、データが飛んでしまいます。

    • 「どうやってデータを確実に守れるの?」
    • 「高速で安定したデータアクセスを実現するには?」

という疑問をお持ちではありませんか?

本記事では、データ保護とアクセスの効率化というお悩みを最新のテクノロジーと実績ある方法論の観点から解決します。

個人のPCで使っているとあまり気にすることはないかもしれませんが、サーバーを普段使っているエンジニアの常識では、実はHDDは「壊れる前提の消耗品」です。

そんなHDD1本に頼ったデータ管理をしていると、いつデータが壊れてしまうかわかりません。

そこでHDDでもデータを保護しやすい「RAID」について解説します。

    • RAIDの基本
    • Windowsの記憶域プールによるRAID構築
    • RAIDの活用例

の順番にご紹介していきます。

10分くらいで読めますし、データ管理の方法が劇的に改善される可能性が高いので、まずはご一読ください!

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RAIDとは

RAIDとは複数のディスクを組み合わせて一つのストレージとして使う技術のことです。

小学校で習う乾電池の直列、並列の繋ぎ合わせのような仕組みで動作します。

直列で繋げば、効率よくデータが保存でき、並列で繋げば片方が壊れても大丈夫になります。

詳しくはこちらをご覧ください。

Windowsの記憶域プールとは

記憶域プールは、複数のディスクを仮想化して、「まとめて」使う機能です。

例えば、容量の異なるディスクをまとめて1本として扱うことや、まとめた1本から複数のドライブを作成するようなことが可能です。

記憶域プールとハードウェアRAIDには異なる部分もありますので、違いについては後述しています。

記憶域プールの特徴

それでは記憶域プールには具体的にどのような特徴があるのでしょうか?

障害対策

記憶域プールはRAIDと同じように障害対策としての機能があります。

ミラーリングと呼ばれる方法を用いて、同じ内容のデータを2本のディスクに書き込むことで片方のディスクに障害が発生しても、データが失われずにアクセスが継続できます。

シン・プロビジョニング

シン・プロビジョニングとは、ストレージ・リソースを仮想化して割り当てることで、ストレージの物理容量を削減できる技術です。

例えば、500GBのストレージを使っているPCやサーバーがあるとして、実際には100GBしか使っていないと、残りの400GBは使われない領域となってしまいます。

そこでシン・プロビジョニングを使えば、使われていない領域を効率的に使うため、そのPCやサーバーのストレージを200GBを上限にしてそれ以外の300GBを別のサーバーやPCに割り当てることができます。

もちろん保存するデータが増えるなら増加させることもできます。

アクセス速度の向上

記憶域プールで複数のディスクをまとめて1つのストレージとして扱うと、同時に複数のディスクに書き込みや読み込みが行われます。

そのため、ディスク1本で読み書きをするよりも、アクセス速度が高速になります。

記憶域プールの回復性の種類

次に記憶域プールで設定できる回復性を4つ解説します。

選択できる回復性は以下の4つです。

      • シンプル
      • 双方向ミラー
      • 3方向ミラー
      • パリティ

シンプル
RAID0と近い機能で複数のディスクをまとめて1つのストレージとして使うことができます。
そのため、大容量のストレージを作ることができます。
一方で、データ保護の機能は持ち合わせていないため、1本でもディスクが破損すれば、アクセスができなくなります。

双方向ミラー
双方向ミラーでは、2本のディスクに同じ内容の書き込みを行い、どちらか1本に障害が発生してもアクセスが継続できます。
RAID1のような機能です。
ただし、1つの変更や保存を行う際、必ず2つのディスクに読み込み・書き込みが発生するため、アクセス速度が低下します。

3方向ミラー
双方向ミラーは、1本の破損まで耐えられる機能ですが、3方向ミラーはディスクを5本以上持ち、データを3重化するため、2本までの障害には耐えられます。
ただ、どうしても5本以上のディスクが必要になるため、物理的なコストがかかります。

パリティ
パリティはデータを保管するディスクの他に「誤り補正データ(パリティ)」を保管するディスクを持つ機能です。
ディスク破損時にはパリティを元にデータを復元します。
ディスク3本以上で作成でき、3本中2本がデータ用として利用できるため、効率と回復性の両方を兼ね備えています。

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記憶域プールとハードウェアRAIDの違い

記憶域プールとRAIDコントローラを使って構築するRAIDの違いについて、3つ紹介します。

      • 使用できるディスク
        記憶域プールでは容量が異なるディスクであっても、すべて使用できます。
        一方でRAIDでは異なる容量のディスクで構築しようとすると、一番容量の小さいディスクの容量が全ディスクで利用されてしまいます。
      • コントローラ
        記憶域プールはWindowsの機能であるため、特に専用の機器は必要がありません。
        また、RAID構築時はRAIDコントローラが必要になります。
      • システム負荷の面
        記憶域プールは稼働するためにCPUを使うため、大きな書き込みや読み込みがある時にはアプリケーションの動作が遅くなるなどの影響があります。
        また、RAIDはRAIDコントローラに内蔵されているCPUが使われるためシステムへの影響はありません。

Windows 10記憶域プールによるRAID構築

Windows 8やWindows Server 2012で追加された記憶域プールですが、本記事ではWindows 10をベースに双方向ミラー構築方法をご紹介します。

必要なハードウェアとソフトウェア

      • Windows 10
      • 空のディスクを2本以上(サーバーへ接続しておく)

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RAID構築の手順

まずはスタートメニューを開き、「設定」を開きます。

設定が開いたら[システム]を開きます。

 

次に記憶域のメニューを開き、「記憶域の管理」を開きます。

次に「新しいプールと記憶域の作成」を開きます。

確認を求められますので、「はい」を選びます。

すると、接続したディスクが表示されますので、プールにまとめるディスクを選び、「プールの作成」を押します。
今回は空のディスクを2本接続しているので、2本表示されています。

次に記憶域の名前、ドライブ文字、ファイルシステム、回復性、サイズを選択する画面に移ります。
基本的には回復性だけ設定変更すれば、大丈夫です。
他の項目は自動で設定されます。

しばらく待つと作成が完成します。
エクスプローラーの「PC」を見ると、先程作成したEドライブが追加されています。

また、「ディスクの管理」でも確認ができます。
スタートボタンを右クリックすると、このようなメニューが表示されますので、「ディスクの管理」を開きます。

この画面でもEドライブが追加されていることがわかります。

RAID設定の確認方法

記憶域の設定は作成したときの「記憶域の管理」画面で確認ができます。
どのドライブが記憶域として設定されており、どのような回復性が設定されているかが確認できます。

なお、この画面で記憶域や記憶域プールの削除、ドライブの追加も可能です。

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RAIDの活用例

次にRAIDがどのような活用をされているのかを解説します。

業務システム

24時間稼働しているシステムでデータの保護高可用性を目的に活用されています。

例えば、病院のシステムやSaaSなどの24時間提供し続けているツールサービスなどで利用されています。

ファイルサーバー

組織の中のデータ保存用として使われることがあります。

データの破損にも備えておきたいが、大容量も使いたいという要望からRAID50RAID10が使われる事が多いです。

RAIDレベルについてはこちらをご覧ください。

RAID故障時の対処法

最後にRAID故障時の対処ができる機能をご紹介します。

ホットスワップ

ハードウェアRAIDの場合、ディスク故障から復旧するためのディスク交換のほとんどでサーバーの停止が必要になります。

しかし、ホットスワップに対応しているマザーボードやRAIDカードの場合には、電源が入ったまま交換ができます。

サーバーの停止ができないサービスを扱っている場合には重宝する機能です。

復旧サービス

PC、サーバーを問わずRAIDが完全に壊れてしまった時には、データの復旧サービスで復元できる可能性があります。

復旧の難易度の違いはあるものの、HDDでもSSDでも復旧サービスはあります。

まとめ

大事なデータを守るためにはWindowsの記憶域プールやRAIDを活用することで、解決します。

本記事では

    • RAIDの基本
    • Windowsの記憶域プールによるRAID構築
    • RAIDの活用例

を解説しました。

RAIDを構築することは手順を踏めば難しくないかもしれません。

しかし、管理まで行うとすると個人では難しい可能性があります。

故障した際には適切なディスクを購入して、交換する作業がありますが、交換の際に別の部品を誤って壊してしまうことがあります。

しかし、レンタルサーバーなら物理的な管理は事業者が行うため、煩わしい作業は必要ありません。

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