AI技術が社会の至る所で利用されるようになり、欠かせないものになってきています。
そのAI技術は大きく「クラウドAI」と「エッジAI」の2種類があります。
クラウドAIについては知っているものの、エッジAIは聞いたこともない、という人もいるのではないでしょうか。
本記事では、エッジAIの基本知識や導入事例について詳しく解説します。
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目次
エッジAIとは
エッジAIの概要
エッジAIは、センサーやカメラなど、データが生成するデバイス(エッジデバイス)でAI(人工知能)による処理を実行する技術システムです。
従来のクラウドAIでは、データをクラウドサーバーに送信して処理を行っていましたが、エッジAIではデバイス自体やエッジサーバーで処理を完結させます。
例えば、スマートフォンの顔認証や音声認識、製造ラインでの不良品検知などが挙げられます。
この技術により、リアルタイム性の向上、通信コストの削減、プライバシーの保護が実現され、より効率的なAIの活用が可能です。
エッジAIが注目される背景
エッジAIが注目を集める背景には、IoTデバイスの爆発的な増加とDX(デジタルトランスフォーメーション)の急速な推進があります。
総務省が発表した令和6年版情報通信白書によると、世界のIoTデバイス数は2027年に570億台を超えると予測されています。
また、製造業におけるスマートファクトリー化や、自動運転技術の進展に伴い、膨大なデータをリアルタイムに処理することが求められており、エッジAIの需要が高まっています。

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エッジAIの市場規模
エッジAIの世界市場は急速な成長を遂げています。
調査会社の予測によると、日本エッジAI市場は、2023年の112億5,000万米ドルから2032年には796億8,000万米ドルへと飛躍的に成長すると予想されています。
特に製造業、自動車産業、医療分野での需要が高く、年平均成長率(CAGR)は24.3%と言われています。
製造業を中心にエッジAIの導入が進んでおり、2024年度には5,000億円規模の市場に成長すると見込まれています。
また、日本では半導体技術の向上と5Gの登場により、エッジAIデバイスはより効率的で高性能になっており、急速な普及を支えているといえます。
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エッジAIのメリット・デメリット
エッジAIのメリット
・リアルタイム性
エッジAIはデータ発生源で処理を行い、数ミリ秒で応答可能なリアルタイム性が特徴です。
工場検査や自動運転、医療モニタリングなど即時判断が必要な場面で活躍し、ネットワークに依存せず安定した処理を実現します。
・セキュリティが高い
エッジAIはデータをクラウドに送らずデバイス内で処理を完結させるため、セキュリティとプライバシー保護に優れています。
医療機関や製造現場で機密データを安全に処理できます。
・通信料の削減
エッジAIは必要な情報のみ送信することで、通信量とコストを大幅に削減可能です。
監視カメラやセンサーデータ処理など、大量のデータを扱う用途で特に効果を発揮します。
エッジAIのデメリット
・処理能力が限定される
エッジAIの制約は処理能力の限界です。
エッジデバイスは計算リソースが限られ、複雑な処理や大規模データの処理が困難です。
特にバッテリー駆動デバイスでは、処理能力と電力消費のバランスが課題となります。
・管理が大変
エッジデバイスが増えると、運用管理が複雑化します。
特に分散設置されたデバイスでは、アップデートや障害対応の負担が大きくなります。
・大規模システムに向かない
エッジAIは大規模システムには不向きです。
多くのデバイス導入には高コストがかかり、連携やデータ管理の複雑性が増します。
そのため、クラウドAIとのハイブリッド運用が推奨されます。
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エッジAIの活用事例
自動運転技術の発展
自動車業界では、自動運転技術において、エッジAIが中核的な役割を果たしています。
車載コンピュータにエッジAIを搭載することで、カメラやセンサーからのデータをミリ秒単位でリアルタイム処理し、即座に判断を下すことが可能になります。
例えば、前方の歩行者や障害物の検知、車線の認識、交通標識の読み取りなどを、クラウドとの通信遅延なく実行できます。
トヨタやテスラなどの自動車メーカーは、独自のエッジAIチップを開発し、Level 3以上の自動運転システムの実現に向けて技術開発を進めています。
産業用ロボットの生産性向上
製造業においては、エッジAIを搭載した産業用ロボットが、生産性と品質の向上に大きく貢献しています。
例えば、ファナックやABBなどの産業用ロボットメーカーは、エッジAI技術を活用した高度な画像認識システムを実装し、製品の品質検査や異常検知を自動化しています。
これにより、製造ラインでの不良品の即時検出が可能となり、生産効率の向上とコスト削減を実現しています。
さらに、予知保全の分野でも、機械の振動データや温度データをエッジで分析することで、故障の予兆を早期に検知し、計画的なメンテナンスを可能にしています。
監視システムの効率化
警備業界では、エッジAIの導入により、監視システムの高度化と効率化が進んでいます。
従来の監視カメラシステムでは、映像をすべてクラウドに送信して分析する必要があり、通信コストと遅延が課題でした。
しかし、エッジAI搭載のスマートカメラを導入することで、カメラ自体が不審者の検知や異常行動の判別を即座に行うことが可能になりました。
また、施設内の人流分析や混雑状況の把握にもエッジAIが活用され、効率的な警備員の配置や防犯対策の最適化にも貢献しています。
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まとめ
本記事ではエッジAIについて解説しました。
エッジAIは従来のクラウドAIに比べ、以下のような違いがあります。
比較対象 | エッジAI | クラウドAI |
処理場所 | エッジデバイス上 | クラウド上 |
リアルタイム対応 | 可能 | 不向き |
セキュリティ | 高い | リスクあり |
処理能力 | 限定的 | 高い |
用途 | 小規模システム向け | 大規模システム向け |
エッジAIはAI処理をデバイス上で行うことから通信がほとんど発生しないため、リアルタイム対応が可能でセキュリティにも優れています。
しかし、計算リソースが限られていることから処理能力が低いため、用途が小規模システム向けとなります。
エッジAIはリアルタイム性を求める製造業や医療分野で特に注目されており、今後大幅な市場の拡大が予想されています。
エッジAIとクラウドAIを上手に使い分け、システムにあわせて設計を行うとよいでしょう。
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