コスト削減、運用管理の負担軽減のため、オンプレミス環境のサーバーを外部移管するケースも増えています。
ここでよく混同しがちなのが、ホスティングサービス(レンタルサーバー)とクラウドサービスです。
この記事ではホスティングサービスの中でもスペックが高く、自由な設計が実現できる「専用サーバー」をピックアップして、クラウドと何が違うのか、それぞれの特徴を説明しながら比較していきたいと思います。
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・サーバーの監視
・ファイアウォール等のネットワーク機器の設置
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目次
専用サーバーとクラウドの概要
専用サーバーとは
専用サーバーとは、1台の物理サーバーを丸ごと借りて使うことができるサービスです。
物理サーバーのリソースを占有できるので高パフォーマンスが実現できるほか、root権限を用いたサーバー全体の高度なカスタマイズが可能です。
専用サーバーについて詳しくは以下の記事で解説していますので、参照ください。
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クラウドとは
クラウドとは、インターネットを通じて経由でクラウド業者が提供するストレージやサーバーなどのリソースやサービスを、必要な分だけ利用できる仕組みです。
コンピューター・リソースやサービスを利用することをいいます。
ストレージ、サーバー、データベース、ネットワーク、ソフトウェアなどについて、自分の手元にあるものではなく、インターネット経由で必要に応じた分だけ使用する、という特徴があります。
クラウドは仮想化(※)技術の進展により、2000年代から急速に広まり、今や企業にとっても個人にとっても不可欠の存在となりました。
※仮想化とは、単一のハードウェアを論理的に分割し複数のシステムを構築すること。仮想化とクラウドは意味が異なる。
クラウドを提供機能で分類すると、以下3つに大別されます。
・PaaS(パース)・・・Platform as a Service
アプリを動かす環境を提供する
・IaaS(イアースまたはアイアース)・・・Infrastructure as a Service
サーバーやネットワークといったインフラを提供する
・SaaS(サース)・・・Software as a Service
アプリやソフトウェアを提供する
本記事では専用サーバーと比較しますので、GmailやOffice365といったソフトウェアオンリーのサービスであるSaaSは除外し、IaaS、PaaSについて掘り下げていきましょう。
IaaSとPaaS
IaaSとPaaSの違いについて詳しく見ていきます。
IaaS
IaaSはインフラ(ハードウェア)こそ提供されるものの、利用者はそれ以降のすべてをカスタマイズすることができるので、クラウドの中でも最も自由度が高いサービスといえるでしょう。
OSやミドルウェアも自分たちで管理運用しなくてはいけません。
<特徴>
・サーバー、ストレージ、ネットワークなどのインフラをクラウドベースで提供するサービス
・インフラはクラウド事業者が所有・管理し、ユーザーはリソースを利用する
カスタマイズの自由度高
PaaS
PaaSはOS、ミドルウェアまで提供されるため、利用者はサーバーを構築することなくアプリケーションの開発やデータベースの利用に専念できますが、一方でカスタマイズは制約されます。
プログラミング言語やデータベース言語に関しても、使えるものがPaaS側であらかじめ指定されています。
<特徴>
・アプリの開発やデータベース構築を行うためのプラットフォームをクラウドで提供するサービス
・アプリ開発の基盤まではクラウド事業者が所有・管理し、ユーザーはアプリケーションを利用する
カスタマイズの自由度低
より専用サーバーに近いクラウドサービスはIaaSだということが分かりました。次章では、IaaSを専用サーバーと比較していくことにしましょう。
専用サーバーとクラウド(IaaS)の相違点
専用サーバーとクラウド(Iaas)の違いを、運用管理・スケーラビリティ・可用性と冗長構成・費用体系の4つの視点から比較していきます。
運用管理
専用サーバー:
ハードウェアレベルでの制御が可能(物理機器の設置、セキュリティ対策、CPUメモリ等の自由で細かい構成設計)すべて自分たちで行う
クラウド:
ハードウェア管理は業者が行い、OSレベルの管理から自分たちで行う
専用サーバーは1基のハードウェアを専有して使用できるので、利用者はメモリ、ディスク容量の設計や外部機器の設置まで、ハードウェアレベルからカスタマイズできるのに対し、クラウドはOSレベルからのカスタマイズになります。
管理対象のレイヤー範囲が異なるので、例えばクラウドの場合ハードウェアの状態は業者が用意したツールで監視できるようになっていることが多いですが、専用サーバーの場合は自分たちで監視設定から構築が必要です。
かといってクラウドもメンテナンスが不要なわけではなく、比較的高度な知識による運用管理が必要とされます。
スケーラビリティ
専用サーバー:
物理的なスケールに制約され、運用途中でのメモリ増設、CPUコア増加、ディスク容量追加などのスケールアップが困難
クラウド:
必要に応じてリソースを簡単にスケールアップまたはスケールダウン可能
スケーラビリティとは運用中のサーバーのリソース(ディスク、メモリ、CPU)の拡張性のことです。
クラウドの場合は複数台の物理機器に論理構成される空間なので、サーバー稼働中であっても柔軟かつ迅速にスケールアップ(リソースを増やすこと)もしくはスケールダウン(減らすこと)が可能です。
対して専用サーバーの場合は、それが現存するハードウェアに制約されます。
メモリスロットに空きがない場合は増設できなかったり、マザーボードが対応していないCPUには換装できなかったりします。
また、物理的な増設になるため、稼働しながらのスケールアップは困難でしょう。
可用性と冗長構成
専用サーバー:
構成が1台のハードウェア、1拠点のデータセンターに依存
クラウド:
複数台のハードウェアから構成され予め冗長化されていることが多い
データセンター、リージョンを分散することもできる
スケーラビリティと同じく、可用性(システムがダウンしたときの継続稼働水準)に関しても、専用サーバーが物理的な構成に依存するのに対し、複数の物理機器から論理空間が構成されているクラウドの場合は可用性を高めることが容易です。
トラブルに備える冗長化が予め一定の水準まで設定されていることが多いほか、大手の事業者の場合、リージョン(サーバーが収容されているデータセンターの国や地域)をまたいだバックアップも構築できるでしょう。
一方専用サーバーは、バックアップ機の設置など、冗長化構成を利用者自らの手で対策する必要があります。
費用体系
専用サーバー:
イニシャルコストが高く、ハードウェアのスペックに応じた一定額がランニングコストとして毎月課金される
クラウド:
基本的にイニシャルコスト不要、ランニングは使った分だけ支払う従量課金制の料金モデルが一般的だが仕組みが複雑
費用体系も、専用サーバーとクラウドでは大きく異なります。
専用サーバーはハードウェアを導入するため初期費用は高額になります。
月々の費用(ランニングコスト)は定額が課金されていきます。
対してクラウドの場合、さまざまな要素が関係して月額の料金が決まってくるため、かなり複雑となっています。
定費に加えスペックや通信量など使った分だけ払う従量課金制のモデルが多いです。イニシャルコストは基本的にかかりません。
メリットとデメリットまとめ
専用サーバー、クラウド(IaaS)それぞれの特徴別に、メリットとデメリットをまとめてみました。
専用サーバー
メリット | デメリット |
よりカスタマイズの自由度が高い | 低レイヤーまで含めた管理運用が必要 |
高スペックのリソースを専有できる | 途中でスケール変更が困難、リソースの無駄が発生する可能性がある |
データプライバシーに優れ、独自のセキュリティや冗長対策ができる | 専門知識を有する技術者による構築と管理運用が必要 |
ランニングコストが定額に近いので予算が立てやすい | 見積もりを誤るとコストが無駄になることもある |
専用サーバーは、高度な専門知識を持つエンジニアが適切に設計・管理すれば、すべて自分たちで構成を把握できるために、運用しやすく予算も立てやすいという利点があります。
一方でイニシャルコストがかかるほか、目測を誤った設計、見積りで導入してしまうと、リソースが無駄になってしまいます。
クラウドのように途中での柔軟なスケール変更もできません。
クラウド
メリット | デメリット |
ハードウェアのメンテナンスが不要 | 低レイヤーの独自カスタマイズができない |
従量課金制、リソースも簡単にスケールアップ/ダウンできる | コスト体系が複雑、予算が立てにくい |
インフラ周りのセキュリティが担保される | OSレベル以上のセキュリティは対策が必要、専門知識必要 |
冗長構成、可用性、BCP対策オプションの充実 | クラウド業者の障害によるサービスダウンは解決できない |
クラウドはコストやスペック面で、スモールスタート(当初の費用は安く抑え、必要に応じて拡大していく方法)ができるという利点がありますが、予算としては見通しが立てにくいでしょう。
インフラをクラウド事業者が管理してくれるのは利点で、冗長性も魅力ですが、逆にクラウド全体に障害が発生した場合、問題は自分たちで解決できず事業者の対応を待つまで復旧できません。
専用サーバーとクラウド、どちらを選ぶ? 選択のコツとは
専用サーバーとクラウド、それぞれの特徴や違いを紹介してきましたが、最終的にどちらを選ぶべきかという判断のポイントについて触れていきます。
どちらを選んだ方がよいのか、判断のポイントについて少し触れていこうと思います。
おそらくですが、メリットを比較した場合、どうしても多くの方はクラウドの方が魅力的に映るのではないでしょうか。
しかし、専用サーバーの強みを見落としてはいけません。
無条件にクラウドに飛びついてしまうのは早計だといえます。
まず、専用サーバーはカスタマイズ性が高く、特に大規模なシステムやリソースを安定して利用する必要がある場合、専用サーバーの方が圧倒的に優れています。
クラウドは利用量が増えるごとに費用が膨れ上がる傾向にある一方、専用サーバーでは固定のコストで高パフォーマンスを維持できるため、長期的なコストメリットがあります。
確かにクラウドの導入しやすさ、初期投資コストの安さは特筆すべきですが、しかし利用量が増大していったりオプションを次々追加したりした場合、長い目でみると専用サーバーの方が割安の場合もあります。
また、クラウドは予めサーバーが構築されているため管理が簡単と思われがちですが、運用には一定の技術的なそれなりの管理知識が必要なのも忘れてはいけません。
一方で、専用サーバーは特にオンプレミスや従来のIT環境に慣れた運用者にとって、むしろ扱いやすく、自由度が高い運用を可能にします。
逆に、オンプレミスに慣れている場合、クラウドよりも専用サーバーの方が運用しやすかったりします。
専用サーバーのなかには、サーバー運用業務やセキュリティ設定などを代行してくれる「マネージドサービス」を提供している業者もあるので、その利用も視野に入れるのもよさそうです。
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まとめ
自社内ではなく、外部のサーバーにアクセスして運用する、という共通項を持つクラウドと専用サーバー。
リモートデスクトップ等でアクセスすると同じような感覚かもしれませんが、比較するとその仕組みや性質がずいぶん異なることに気付きます。
目先のコストや管理のしやすさだけではなく、メリットデメリットを自社のシステムに照らし合わせて見極めたうえで、将来的な運用も見据え、しっかりと選考することが成功のキーポイントになるでしょう。
専用サーバーのホスティング業者の中には、クラウドも含めた導入の相談が可能なところも多いですので、ぜひ一度専門家に相談してみることをおススメいたします。
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