サイバーセキュリティメッシュとは? 基本概念や主要レイヤーについて詳しく解説!

クラウドやIoT、リモートワーク、AIの普及により、従来の「社内ネットワーク」という境界が崩れている現状において、分散したリソースをどう統合的に保護するかが課題となっています。

ゼロトラストに基づいた比較的新しいセキュリティモデルとして注目されているのが、サイバーセキュリティメッシュです。

この記事では、サイバーセキュリティメッシュの定義やゼロトラストとの違い、主要レイヤーや関連ソリューションについて詳しく解説します。

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サイバーセキュリティメッシュとは

概要

サイバーセキュリティメッシュは、ガートナー社が2021年に提唱し注目を浴びた新しいセキュリティアーキテクチャの概念であり、英語でCSMA(Cybersecurity Mesh Architecture)と略されます。

ガートナー社は、アメリカに本社を置く世界最大規模のITリサーチ企業で、同社が発表する分析や予測は、グローバルなITトレンドに大きな影響を与えています。

2019年に提唱された「SASE」もその代表的な例です。

ガートナー社はサイバーセキュリティメッシュを以下のように定義しています。

・セキュリティツールの共通基盤
分散したセキュリティツールを連携させ、組織全体で一貫した防御体制を実現するアーキテクチャ。

・データプレーンとコントロールプレーンの一元化
データプレーンとコントロールプレーンを統合し、ツール間の連携をより効果的にすることで、構成可能な分散型セキュリティツールを柔軟に統合できる。

・セキュリティレベルの向上
検出精度の強化、迅速な対応、一貫したポリシー管理、きめ細やかなアクセス制御により、全体的なセキュリティを向上させる。

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ゼロトラストとの違い

セキュリティの概念といえば、近年注目されて導入が進んでいるモデルに「ゼロトラスト」があります。

ゼロトラストとサイバーセキュリティメッシュはどのように異なるのでしょうか?

ゼロトラストの背景と概要

従来の企業ネットワークのセキュリティは社内と社外を区分けし、ファイヤーウォールやIDSなどで社外からの攻撃を防御する境界型防御が主流でした。

しかし、以下のような変化により従来の境界型防御では限界が生じるようになりました。

・リモートワークやテレワークの拡大
・クラウドサービス(SaaSなど)の普及
・VPNの脆弱性やシャドーITによる情報漏洩リスクの増加

こうした背景から登場したのが「ゼロトラストセキュリティ」です。

ゼロトラストの基本原則

ゼロトラストとは、「何も信頼しない」「社内外を問わず全てのアクセスを検証する」という考え方に基づいたセキュリティモデルです。

①明示的な検証
②最小権限アクセスの徹底
③侵害を前提とした設計

この3点を柱とし、統合的なエンドポイント管理や、不審な挙動の早期検知、継続的な信頼性評価といったセキュリティ強化を図ります。

ゼロトラストの課題

強固なセキュリティモデルであるゼロトラストですが、以下のような課題もあります。

・組織のセキュリティ運用が複雑化しやすい
・導入・運用コストが高い
・拠点やデバイスの分散により、部分的にしか最適化されないケースがある

こうした課題を補完するのが、「サイバーセキュリティメッシュ」です。

メッシュ(網)のように複数の要素が連携し、分散したIT環境を包括的にカバーすることによって、より強固で柔軟なセキュリティを実現します。

つまり、サイバーセキュリティメッシュはゼロトラストと対立する概念ではなく、ゼロトラストの原則を基盤とし、それを最適化・拡張するフレームワークとして捉えることができます。

境界に依存しないというゼロトラストのアプローチは踏襲しつつ、より高度なアクセス管理やセキュリティの統合管理を可能にするのがサイバーセキュリティメッシュなのです。

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注目される理由

サイバー攻撃は日々巧妙化しており、少しの隙でも大きな被害につながる可能性があります。

サイバーセキュリティメッシュは様々なシステムやネットワーク環境に存在するセキュリティのギャップを解消し、組織全体のセキュリティ強度を高めるための有効な手段として、今後ますます注目されていくでしょう。

サイバーセキュリティメッシュの4つの基本レイヤー

サイバーセキュリティメッシュは、以下の4つの基本レイヤーによって構成され、それぞれが相互に連携しながらセキュリティ強化を支援します。

セキュリティ分析とインテリジェンス

このレイヤーでは、さまざまなセキュリティツールからリアルタイムにデータを収集・集約し、分析することにより、潜在的な脅威を早期に発見し、迅速な対策が可能になるでしょう(脅威インテリジェンスの実現)。

この機能を支える代表的なソリューションには、以下のようなものがあります。

・SIEM(Security Information and Event Management)
・SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)
・UEBA(User and Entity Behavior Analytics)

これらのツールを組み合わせることで、脅威の可視化から自動対応までのプロセスを高度に最適化することができます。

分散IDファブリック

安全性と信頼性の高い分散型の方法でIDとアクセスを管理することで、不正アクセスやセキュリティ事故のリスクを軽減し、信頼性の高いセキュリティ基盤を構築します。

IDを“トラストアンカー“とするゼロトラストモデルにおいて、中核的な役割を果たすこのレイヤーは、アクセス権管理、ディレクトリサービス、ID証明管理といった要素が含まれます。

統合されたポリシーおよびポスチャ管理

このレイヤーでは、インフラ全体にわたってセキュリティポリシーを統合管理し、継続的なセキュリティポスチャ(全体的なセキュリティ状況)の把握と改善を支援します。

ポリシーを特定の環境・ルールに変換し、動的な承認サービスを提供します。

実現を支援するツールとしてCSPM、DSPMなどがあります。

 統合ダッシュボード

このレイヤーは、複数のセキュリティデータを集約し、単一のダッシュボードで表示されることで、担当者が効率的に状況を把握・管理できるよう支援します。

組織全体のセキュリティアーキテクチャに対する統一的な可視性を提供し、セキュリティインシデントの迅速な検出・対応が可能になります。

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サイバーセキュリティメッシュに関連するソリューション・サービス

SIEM

SIEM(シーム)は、ネットワーク上のログを一元的に収集、管理、分析する仕組みです。

複数のセキュリティ機器ツールからデータを分析・可視化することで、リアルタイムにインシデントの早期検出を実現します。

分散環境全体をカバーできるため、サイバーセキュリティメッシュの基盤レイヤーとして重要な役割を担います。

UEBA

UEBA(ユーザー・エンティティ行動分析)は、ユーザーやシステムの通常の行動パターンを学習し、そこから逸脱する異常な動きを検知するセキュリティ技術です。

AIアルゴリズムを活用して微細な変化にも素早く対応でき、即時のブロックなどによるセキュリティ事故の防止、潜在的な脅威の可視化、コンプライアンス強化などに貢献します。

SOAR

SOAR(ソアー)は、セキュリティ業務のオーケストレーション(統合)、自動化、レスポンス(対応)を実現するソリューションとなります。

複数のセキュリティツールを連携させて、インシデントのトリアージ(優先順位付け)や対応アクションを自動化することで、対応時間の短縮、人為的ミスの排除を実現します。

さらにITスタッフの負担軽減、人手不足対策にもなり、長期的に高いROIの向上が期待されます。

IAM

IAM(アイエーエム)はIDとアクセス権を統合的に管理するための技術です。

社内システムやSaaSなど、複数の環境にまたがるIDとアクセス権を一元管理し、ゼロトラストの実現に不可欠な基盤を提供します。

シングルサインオン(SSO)や多要素認証(MFA)などの実装もIAMの一部であり、Gartnerの2025年ITトレンドによると、特に、マシンアカウントについてIAMのさらなる強化が求められると指摘されています。

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CASB

クラウド環境におけるセキュリティ対策には、CASBとDLPの連携が効果的です。

CASB(キャスビー)企業が利用する複数のクラウドサービスの利用状況を可視化し、不審アクセスの監視や制御を行います。

DLP(ディーエルピー)は、データの不正持ち出しや情報漏洩を防ぐための技術であり、CASBと連携することでクラウド上のデータ保護を強化できます。

DSPM

DSPM(ディーエスピーエム)は、クラウドを含むあらゆる環境に分散する機密データの脆弱性やリスク評価の可視化を行う仕組みです。

ポスチャ(Posture)とは「態勢」を意味し、セキュリティポスチャとは、組織がどの程度セキュリティに対して準備されているかを示す指標です。

DSPMによって、分散環境に散在しているデータの棚卸とリスク是正を行うことで、統合されたポスチャ管理を実現します。

まとめ

本記事では、サイバーセキュリティメッシュの概念から、構成要素ごとの役割やソリューションについて解説しました。

サイバーセキュリティメッシュは、ゼロトラストと同様に“考え方”や“アーキテクチャの枠組み”であって、何か特定の製品やサービスを導入すれば完了というわけではありません。

ガートナー社の定義にもあるように、「コラボレーション」や「統合」がキーワードになっているように、複数のセキュリティ製品を連携させることで、サイロ化(分断化)を是正し、全体最適化を図ることが重要です。

ゼロトラスト導入を検討している企業も、ぜひその先を見据えて、サイバーセキュリティメッシュを意識した取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。

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